肌寒い季節になると、ふと思い出すのが「おでん」。
しみじみとした優しい味わいは、体の芯からあたためてくれて、どこか懐かしい気持ちにもさせてくれます。
寒い日の夕食に、おでんの湯気が立ちのぼる光景は、まさに心までホッと癒してくれるひととき。
あたたかくてホッとする味わいは、家族みんなで囲む食卓にぴったりですよね。
でも、ただ具材を鍋に放り込んで煮るだけでは、思ったように味が染みなかったり、形が崩れてしまったりすることも。
せっかくの食材を活かしきれず、なんだか物足りない仕上がりになってしまうのはもったいないですよね。
だからこそ、おでんをもっと美味しく楽しむためには、ちょっとした工夫が大切なんです。
実は、美味しいおでんを作るには、具材選びから煮込み方までにコツがぎゅっと詰まっています。
具材を入れる順番、下ごしらえの方法、煮込み時間の調整、火加減の工夫など、少し気を配るだけで驚くほど味に差が出るんですよ。
たとえば、大根は下茹でしてから煮込むと味が染みやすくなりますし、こんにゃくには切り込みを入れることで出汁がよく絡みます。
卵も、殻をむいてから煮込むタイミングを調整することで、黄身までしっかり味が入るようになります。
この記事では、出汁がしっかり出る具材から順に入れるタイミングや、関東風と関西風の出汁の違い、それぞれの魅力についても詳しく解説しています。
また、初心者でもすぐに実践できるコツや注意点まで、やさしく丁寧にご紹介。
料理が苦手という方でも、「これならできそう!」と思っていただけるように心がけました。
寒い日こそ、おうちでゆったりと美味しいおでんを楽しんでみませんか?お鍋いっぱいに広がる香りと味わいに、きっと笑顔がこぼれるはず。
家族みんなが「また食べたい!」と思えるような絶品おでんを、一緒に作ってみましょう。
おでんの煮込み時間はどのくらい?下ゆでが必用な具材には何がある?
「おでんは、煮込めば煮込むほど良い!」というわけではありません。
おでんの煮込み時間は、だいたい45分程度。
必要以上に煮込み過ぎると、それこそ煮詰まって辛くなってしまったり、煮崩れてしまいますね。
大事なのは、煮込み過ぎるのではなく、具材によって煮込む順番を変えて、素材から出る出汁や旨味、あと具材の食感を活かすことです。
具材を入れる順番
おでんの具材を入れるタイミングを見ていきましょう。
おでんの具材を入れる順番1,出汁が出る具材
- 牛すじ
- 手羽先
ここが大事!
素材の旨味が出るものを先に煮込みだすと、他に具材にもしっかり旨味が移ってくれます。
おでんの具材を入れる順番2,煮込み過ぎても問題のない具材や味が染みた方がおいしい具材
- 大根
- こんにゃく
- たまご
- 厚揚げ
- ソーセージ
- ちくわぶ
- 昆布系
煮崩れることもなく、尚且つ、しっかりめに煮込みたいタイプの具材です。
おでんの具材を入れる順番3、煮崩れしやすい具材
- ちくわ
- はんぺん
- つみれ
- 餅巾着
はんぺんなんて煮込んでしまうと、お出汁を吸って風船のように膨らんでしまいます。
なので、はんぺんは食べる直前に鍋に入れて、おたまでつゆをかけながら温める程度でOKです。
ちくわぶは煮込み過ぎると溶けてしまいますが、逆に出汁を吸って膨らんだちくわは、個人的には好きです。
お好みでどうぞ。
このひと手間で段違い!前日の下ごしらえ
下ごしらえ…ちょっと面倒くさい。
なんて思わないでください。
この下ごしらえをすることで、段違いにおいしくなります。
しかも、後は順序良く鍋に入れて煮込んでいくだけなので、当日はかなりの時短になります。
むしろ煮込むだけなので、忙しい日にピッタリです。
段違いに美味しくなる下ごしらえ①大根
大根は3㎝程の輪切りにして、皮を厚めにむきます。
太めの大根でしたら、味のしみ込みを良くするために、片面側だけ深さ1㎝ほどの十字の切込みをいれましょう。
その後、下茹でをしてください。
下茹でをすることで、味が染みやすくなり、煮込む時間を短縮できます。
※米のとぎ汁は大根のにおいやアクを和らげてくれるので、あれば是非使ってください。
②湯が沸いたら15~20分くらい下茹でする。
※竹串がスッと通るくらいが目安です。
③下茹でが終わったら、鍋ごとシンクに持って行って、水を差して冷ます。
※やけどに注意!
④冷めたら、そっとバットなどに取り出しておく。
段違いに美味しくなる下ごしらえ②じゃがいも・里芋などのイモ類
イモ類も大根と同じように、下茹でをしておいた方が、味のしみ込みが良くなります。
でも、イモ類は煮込み過ぎると、どうしても煮崩れてしまいがちです。
なので、イモ類は少し固めくらいの加減で下茹でしておいてください。
段違いに美味しくなる下ごしらえ③卵
卵はあらかじめ茹でておくと、当日、楽です。
お好みの固さで茹でておきましょう。
段違いに美味しくなる下ごしらえ③こんにゃく
こんにゃくも下準備をしっかりすることで、味が染みてくれます。
②こんにゃく1枚に対し、小さじ1/2の砂糖をまぶす。
③5分ほどおいて、水気がでてきたらサッと水で洗う。
段違いに美味しくなる下ごしらえ④練り物・厚揚げ
練り物も厚揚げも、熱湯をかけて油抜きをしましょう。
揚げた時の油が表面に残っていると、味がしみ込みにくいです。
おでんの出汁レシピを紹介!関東風と関西風では見た目と味どれだけ違う?
おでんの出汁は、地域によって、様々な味付けがあります。
その中でも代表的なのが関東風と関西風。
濃口しょうゆで甘辛くじっくり煮込むのが関東風おでん。
薄味だからこそ、素材の味が生きてくる関西風おでん。
それぞれ違った美味しさがあります。
ここからは、関東風おでんと関西風おでんの出汁のレシピを紹介していきます。
関東風おでんの出汁レシピ
関西風の出汁と同じく、かつおぶしを使います。
しかしかつおぶしに加えて、
- 濃口しょうゆ
- 酒
- みりん
- 砂糖
色は濃く、不透明です。
関東風おでんの出汁レシピ【材料】
- 水・・・1000cc
- 顆粒かつおだし・・・小さじ1/2
- 顆粒昆布だし・・・小さじ1/2
- 塩・・・適宜
- 酒・・・大さじ3
- みりん・・・大さじ2
- 濃口しょうゆ・・・大さじ2
関東風おでんの出汁レシピ【作り方】
出汁の作り方に関しては、関東風も関西風も出汁の材料を鍋に入れてひと煮たちさせればOK。
出汁が沸騰してから弱火にし、具材を入れていきましょう。
関東風おでんの出汁レシピのワンポイント♪
だし汁を少し減らして、鶏がらスープを入れると、味にコクが出ます。
関東おでんの具は、「はんぺん」・「ちくわぶ」・「つみれ」・「餅巾着」が一般的ですね。
関東おでんの豆知識♪
もともと関東のおでんは、「煮込み田楽」で、味噌煮込みだったそうです。
屋台などで串に刺して売られていたそうで、よくマンガで見られる串刺しのおでんは、ここにルーツがあったんですね。
関西風おでん出汁レシピ
関西風おでんの出汁で大事なのは、昆布とかつおぶし。
薄口しょうゆを使って、あっさりとした味わいに仕上げ、透明感があるのが特徴です。
関西風おでん出汁レシピ【材料】
- 水・・・1000cc
- 酒・・・大さじ3
- みりん・・・大さじ2
- 薄口しょうゆ・・・大さじ4
- 和風顆粒だし・・・小さじ1
関西風おでん出汁レシピのワンポイント♪
出汁をきれいな透明にするためには、火加減が大事!
常に弱火で煮てください。
関西風おでんの具は、「牛すじ」・「厚揚げ」・「たこ」・「くじら」・「がんもどき」など、じっくり出汁の旨味が出るものが多いですね。
関西風おでんの豆知識♪
関西では「おでん」ではなく「関東炊き(かんとだき)」と呼ぶ方が、馴染み深いです。
というのも、大正時代以降、関東より伝わったという説があるそうです。
しかし、関東から伝わったおでんは、関西人には醤油の味が濃いので、出汁の味を引き立てるために、薄口しょうゆを少量使うという風にアレンジされたそうです。
同じおでんでも、ところ変わればその土地に合った味付けに進化するんですね。
いろんな歴史があって、面白いですね。
おでんの具材を入れる順番のまとめ
おでんを美味しく仕上げるためには、
- 具材選びや入れる順番
- 下ごしらえ
- 煮込み方
- 火加減
ちょっとしたひと手間を加えることで、味がしっかり染みて深みのあるおでんに仕上がります。
特に、大根や卵、こんにゃくなどの定番具材は、それぞれに適した下処理や加熱の仕方を知っておくことで、より一層美味しく食べられるようになります。
たとえば、大根は面取りをしてから下茹ですると煮崩れを防ぎつつ味もしっかり染み込みますし、卵はあらかじめ茹でて殻をむいておくことで煮込み中に旨味が染み渡ります。
こんにゃくは味が入りにくいので、表面に格子状の切り込みを入れたり、下茹でしてアクを抜いたりすると臭みが軽減されて美味しさがアップします。
また、出汁の味わいを左右する関東風・関西風の違いにも注目してみましょう。
関東風は濃い口醤油をベースにしたしっかりした味付けで、寒い日にもぴったり。
対して関西風は薄口醤油と昆布だしが主役のやさしい味わいで、素材の風味を引き立てるのが特徴です。
その日の気分や好みに合わせて、出汁のスタイルを変えるのも楽しみのひとつになりますよ。
今回ご紹介したコツやポイントを参考にしながら、ぜひおうちでおでん作りにチャレンジしてみてください。
家族や友人と囲むおでん鍋は、きっと心も体もポカポカにしてくれるはず。
美味しくてほっとするおでんで、冬の食卓をあたたかく彩ってみませんか?