日本で働く女性は、出産を理由に「産休」及び「育休」をとることが国の法律によって定められています。
でも、なかには産休・育休の給付金を受け取ったまま退職する女性がいます。
復帰を持ち望んでいた会社の上司や同僚は複雑な思いではないでしょうか。
でも決して、産休・育休をとった後にママが会社を退職することはずるくありません。
なぜなら、「退職」という選択をせざるを得ない理由があるからです。
育休をもらい逃げする人の心理は?最初っからそのつもりだった!?
本来「育休」は、会社に復職をする前提でとるべき制度です。
でも、現実には多くのママが出産を理由に会社を退職しています。
平成30年に内閣府が発表した「『第1子出産前後の女性の継続就業率』及び出産・育児と女性の就業状況について」によると。
第1子の出産をきっかけに会社を退職した女性の割合は、なんと46.9%と発表されています。
退職したママ達の理由は、
- 子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから:52.3%
- 子育てに専念したかったから:46.1%
- 自分の体や胎児を大事にしたいと考えたから:41.8%
- 職場の出産・子育ての支援制度が不十分だったから:27.9%
- 子どもの体調の悪いときなどに休むことが多かったから:11.7%
- 保育所など子どもの預け先を確保できなかったから:10.9%
- 夫や家族などの家事・子育てのサポートが得られなかったから:10.7%
参考URL:(内閣府男女共同参画局)
育休後に退職を選択するほど子育ては大変
現在、結婚10年目2人の男の子を育児中の私自身は、旦那と遠距離恋愛だったので、結婚した時点で仕事を退職したんですね。
でも、きっと仕事を続けられていて、産休・育休をとっていたとしても仕事には復帰できていなかったと思います。
それほど、子育てが大変だからです。
特に第一子は分からないことだらけ。
子どもの心配をしながらでは仕事に集中できませんし、その方が会社に迷惑をかけると思っていたと思います。
きっと、子育てを経験していない人は「給付金だけもらって退職するなんてずるい。」と思うと思います。
それは決して間違いでないと思います。
でも「小さな命を守るためにはママがそばにいることが大切なんだ。」とママは育休を通して実感して。
仕方なく「退職」という選択をしていることを理解してあげて欲しいと思います。
もちろん育休後に会社を退職することは、ママにとってデメリットがあります。
育休後に会社を退職することのデメリット①経済的に不安定になる
どれだけ育休の給付金を受け取っていても退職後はママの収入が無くなります。
経済的に不安定になることは間違いありません。
子どもが生まれることで支出はもちろん増えますし、将来を考えると貯蓄も必要になってきます。
また、育休中の給付金は、
- 180日目まで:休業開始時賃金日額×支給日数×67%
- 181日目以降:休業開始時賃金日額×支給日数×50%
育休後にママが会社を退職をするということは、「経済的な不安定」が条件になってしまいます。
育休後に会社を退職することのデメリット②保育園に入園できなくなる
保育園は、会社に勤務・もしくは復職することが前提として、選考が進んでいきます。
もしもママが育休後に会社を退職する場合、内定が決まっていても取り消しになる保育園があります。
自治体によって条件は違うので、しっかり調べてから退職の意向を伝えるようにしましょう。
育休後に会社を退職することのデメリット③再就職が難しい
育休後、一度会社を退職すると再就職が難しい現実があります。
さらに、「子育てをしながら資格をとる」など、自分のスキルを上げることも難しいのが現実です。
育休後に会社を退職することのデメリット④社会的評価が下がる
「育休後に会社を退職する」ということは、決して法に触れるわけでもずるいわけでもありません。
でも、まだまだ会社などからの「社会的評価」は下がってしまうのが事実。
さらに、一度退職したことによって、ママは「社会的評価」や「他者からの目線」をプレッシャーに感じて自己嫌悪に陥ることがあります。
その結果、社会的な結びつきが途絶えてしまったり、今後のキャリア発展にも影響を与えてしまうリスクがあります。
育休後に退職する人の特徴は?やめる前にはどんな兆候がある?
育休後に会社を退職する人には、
- 仕事と育児の両立は大変だと実感した
- 子どもとの時間を大切にしたいと思った
- 通勤時間がもったいないと感じた
- 保育園に預けられなかった
- 会社にマタハラや時短ハラスメントなどの問題があった
- 復帰後に退職や転職を求められた
また、育休が明ける前のママには以下のような兆候があらわれることがあります。
- 仕事と育児の両立への不安
- 育児に専念したいという気持ちが強くなる
- 育休明けの仕事への不安感
- 仕事に対するモチベーションの低下
- 会社での人間関係への不安
産後のママは気持ちが不安定になるので、一人で抱え込まずに相談することをおススメしますよ。
また、早めに会社へ相談することは例え「退職」という選択になったとしても会社側にはメリットもあります。
なぜなら、育休後の退職は会社にとって様々な損失があるからです。
早めに「退職」の相談をすることでの会社側のメリット①採用活動や人材育成ができる
育休後に退職するとなると会社は人員不足に陥ります。
特に退職するママが重要なポジションにいた場合や優れた人材の場合は、会社運営に影響を及ぼす可能性があります。
早めに会社に相談をすることで、採用活動や人材育成など会社側が動くことが可能になり、メリットとなります。
早めに「退職」の相談をすることでの会社側のメリット②残された従業員の負担を増やさない
育休後に退職するママが多いと、残された従業員は良い気分にはなりません。
業務が増えたり、残業・休日出勤が増える可能性があります。
そうならないためにも、早めに会社に相談し、採用活動・人材育成の時間を作ってもらいましょう。
そして、「退職」と決意した場合には、務めている会社の就業規則に従って早めに退職の意向を伝えましょう。
通常は、退職希望日の1ヶ月~2ヶ月前に決められていることが多いですよ。
育休後に退職するときの伝え方
また、退職の伝え方は、
- メールやLINEで済ませず育休中でも会社に出向いて直接伝える
- お詫びの気持ちを誠意をもって伝える
- 会社の出産や子育てに対する制度が不十分であっても前向きな理由を伝える
- お世話になった感謝の気持ちを伝える
せっかく縁あって出会った会社と人々です。
最後こそお互いに気持ち良く終えるようにしましょう。
育休後に退職する男性にはどんな理由がある?引き留めるにはどうすればいい?
最近では育休を取る男性も増えてきましたね。
育休後退職するママがいるのと同様に、育休取得後退職を決めるパパもいます。
育休後退職する男性の理由として、次のような意見が挙げられています。
その一方で、子どもが生まれてライフスタイルが変化したにも関わらず、男性の仕事は子どもが生まれる前の業務量となることがほとんどです。
第一子は何とかやりくりできたとしても、第二子・第三子となると家庭での育児や家事の負担はかなり多くなります。
仕事ではフルタイムで働き残業も求められ、家ではママと家事・育児を分担するとなると、パンクしてしまうのも頷けます。
その結果、育児をしながら働きやすい環境を求めて退職を決めてしまうのでしょう。
このような育休後退職する男性を引き留めるには、やはり企業側が育休後どのようにサポートしていくかが大切です。
ある企業では育児への理解を深めるために、「育休復帰後の1日を体験する」といった研修が行われています。
またある自治体では、男性職員が育休を取得する前から他の人と業務を分担する仕組みを作り、育休復帰後も働きやすい環境を整えるといった取り組みが行われています。
「育休後も育児は続いている」ということを企業側が認識し、支援することができれば、育休後退職を引き留めることができるでしょう。
育休後に退職するのはずるい?のまとめ
「育休後に会社を退職するママはずるい」と思われるのは事実です。
だけど、実際子育てをすることは本当に体力・気力を使います。
決して法に触れるわけでもずるいわけでもありません。
そして育休後にママが会社を退職することにはデメリットもあるとお伝えしました。
ぜひ、これからは育休後に退職をするママの気持ちを知り、気持ちよくお仕事できる環境を築いていってくださいね。