
夜が近づくたびに胸の奥がじわっとざわつくあの感じを、私は今でもふと思い出すことがあります。
年子の寝かしつけって、ただ子どもを寝かせるだけの時間じゃなくて、親の心まで大きく揺さぶってくる特別な時間なんですよね。
上の子は「ママこっちにいて」と必死に腕を伸ばしてくるし、下の子は眠いのかお腹がすいたのかとにかく泣いて伝えてくるし。
両方の「助けて」の声が重なると、まるで身体のどこかがギュッと締め付けられるような気持ちになることがありました。
あの頃の私は「ちゃんとやらなきゃ」を握りしめすぎていて、少しの失敗でも自分を責めすぎてしまっていたんです。
それでも家の中には私しかいなくて、誰にもバトンを渡せない夜が続いて、ふと涙が勝手に落ちてくるような日もありました。
でも不思議なもので、そんなに苦しい気持ちを抱えている夜ほど、
「子どもがふっと抱きしめ返してくれたり」
「小さな手が私の手を探して握ってくれたり」
そんな瞬間があって、そのたびに救われてきたんです。
完璧にできなくてもいい、すべてが思い通りに回らなくてもいい、そう思えるようになっていくまでの時間は決してムダじゃなかったと今は思います。
この記事では、あの頃の自分に届けたい言葉を込めながら、あなたの夜が少しでもあたたかくなるヒントを一緒に探していきたいと思います。
年子育児の寝かしつけが苦しく感じるのは自然なこと
年子って、外から見ると「年が近くて仲良さそう」「一緒に育って楽しそう」なんて言われたりもするけれど。
実際に育ててみると、夜の寝かしつけって本当に大きな壁なんですよね。
上の子はまだまだ“赤ちゃん”の名残を残している時期だし、下の子はまさに“赤ちゃん真っ只中”。
どちらも「ひとりで眠れる」なんて段階には全然たどりついていないし、むしろそれぞれの不安や甘えがどんどんぶつかってくるタイミングなんです。
夜になると気持ちが不安定になりやすくて、いつも以上に甘えが強くなったり、ママを求める声が大きくなったり。
そんな2人の“泣き”や“ぐずり”が交互に、あるいは同時にやってきたりもしますよね。
「こっちを抱っこしたらあっちが泣く」
「今度はあっちを落ち着かせたらこっちが怒る」
そんな連鎖反応みたいな時間が1時間、2時間と続くと、もう体の力が抜けていくような気がしてしまいます。
「これって私のやり方が悪いのかな」「他のママたちはもっと上手に寝かせてるのかも」そんなふうに思ってしまったこと、私も何度もありました。
でもそれって、あなただけじゃなくて、多くの年子ママがぶつかっている“当たり前の壁”なんですよね。
年子は生活リズムがそもそも合いにくい
上の子と下の子は見た目こそ“二人とも赤ちゃんっぽい”ですが。
でも実は、心も体も発達段階が違うので、眠くなるタイミングや泣き出す理由、必要としている安心のかたちもまったく違ったりします。
上の子は「ママと絵本読んでからじゃなきゃ眠れない」って言うかもしれないし、下の子は「とにかく抱っこして揺れててくれないと無理!」って泣き続けたりするんですよね。
そのニーズを同時に満たすのって、正直どんなにスーパーママでも難しいと思うんです。
日によっては、上の子が昼寝しすぎて夜なかなか寝なかったり、下の子が寝ぐずりひどくてずっと抱っこじゃないと泣き止まなかったり。
そんな不安定な状態が毎晩くり返されるんだから、心が折れそうになるのも当然のことなんですよ。
“がんばり屋のママ”ほど自分を責めてしまう
本当に多いのが、
「泣かせたくないのに泣かせてしまった」
「今日は怒っちゃった」
「全然うまくいかなかった」
という、ママ自身が自分を責めてしまうケース。
でもそれって、逆に言えば“子どもたちをちゃんと見て、向き合おうとしている証拠”でもあるんですよね。
寝かしつけがうまくいかない日が続くと、「どうして私だけこんなに下手なんだろう」と思ってしまいがちだけど。
実はその“苦しい”って感じてること自体が、あなたがちゃんと愛情をもって育児をしている証です。
そして、その愛情はちゃんと子どもたちにも伝わっています。
たとえ今日は大泣きして寝つけなかったとしても、それでもママがそばにいてくれたという事実は、子どもの心の深いところにちゃんと残っていくんですよね。
“うまくいかない夜”にも意味がある
私も当時は「今日はひどかったな…」って思いながら、子どもたちがやっと寝たあと真っ暗な部屋でひとり涙をこぼしていた夜が何度もありました。
でも、今あの時間を振り返ると、決して“ムダな時間”ではなかったと心から思えるんです。
あの試行錯誤があったからこそ、少しずつ自分なりのリズムが見えてきたし、「うまくいかなくても大丈夫」って思えるようになった日があったからこそ、今こうして書けることがあるんです。
年子育児の寝かしつけは、確かに体力も気力も削られるけれど、それでもママと子どもたちとの“毎晩の関係性”が深く育っていく時間でもあります。
だからこそ、「苦しい」と感じてしまうのは、あなたがちゃんと向き合っている証。
まずはその事実を、あなた自身が優しく認めてあげてくださいね。
同時に寝かせようとしないだけで気持ちがラクになる
年子育児の寝かしつけでいちばん最初に手放してよかったと思えた考え方が、「同時に寝かせようとしなくていい」ということでした。
もちろん最初は、両方一緒に寝かしつけができたらそれが理想だと思ってたし、できている人がいるなら自分にもできるはずと勝手にハードルを上げてしまっていました。
でも現実は、
「片方が眠くなったタイミングでもう片方が元気だったり」
「ようやくどちらかがウトウトしてきた瞬間に下の子の泣き声で振り出しに戻ったり」
そんなことの繰り返しばかりだったんです。
ある夜、疲れ果ててどうにもならなくなって、もう順番でいいやと開き直ったときに、初めて「なんだ、これでもちゃんと眠れるじゃない」と思えたんです。
それからは「一緒に寝かせなきゃ」という思い込みを少しずつ外していけるようになっていきました。
“順番に寝かせる”という選択肢は甘えじゃない
「一緒に寝かせないとダメなんじゃないか」「どちらかを待たせたら可哀想なんじゃないか」そんな気持ちがよぎることもあると思います。
でも実際には、順番にしっかり向き合ってあげたほうが、子どもたちにとっても落ち着きやすくなることが多いんですよね。
上の子は「ちゃんと自分だけを見てもらえた」という安心感を感じられるし、下の子は「泣いたらちゃんと来てくれる」という信頼を積み重ねていけます。
どちらも完璧にはできなくても、「あなたのことを大切に思ってるよ」と伝わる関わり方ができれば、それだけで子どもの心は満たされていくものなんですよね。
だから、時間差で寝かしつけることは決して妥協じゃないし、むしろそれぞれの子にしっかり寄り添うための立派な選択肢なんです。
“ひとりで全部やる”という思い込みをゆるめてみる
ワンオペ育児だと、どうしても「全部ひとりでどうにかしなきゃ」と思い込みがちなんですよね。
けれど、その“全部”を同時にやろうとすると、ママ自身が余裕をなくしてしまって、結果的に子どもたちの不安も高まってしまうことがあります。
だったら、一つずつゆっくりでいいんです。
「上の子を抱きしめたあとに、下の子のところへ行く」それだけでもう十分。
ママが落ち着いていると、その空気が子どもたちにもちゃんと伝わっていきます。
私も「今日は順番にやろう」と決めた夜のほうが、結果的に子どもたちがスッと眠ってくれることが多かったんですよね。
それを何度か経験するうちに、同時じゃないからこそ生まれる“心のゆとり”に気づくことができました。
ワンオペでも使える“現実的な工夫”で夜が変わっていく
「気合いでなんとかなる」って言われても、それが一番難しいのがワンオペでの寝かしつけなんですよね。
体力的にも精神的にも限界ギリギリの中で、何かひとつ崩れると一気に心が折れてしまう。
だからこそ、少しでも夜をラクにするための“現実的な工夫”は、ママの心を守る大きな味方になってくれます。
すごく特別なことじゃなくていいんです。
今のあなたの生活の中に無理なく取り入れられて、しかもすぐに実感できるようなもの。
その積み重ねが、夜の空気をやさしく変えてくれるんです。
“おんぶ紐”はワンオペの救世主だった
私が本当に救われたのは「おんぶ紐」でした。
正直、最初はおんぶって重そうだし、動きにくそうだし、あんまり積極的には使っていなかったんです。
でもある日、下の子の泣き声が止まず、上の子は眠くてぐずって…という地獄のような時間に、「もう背負ってしまえ!」とおんぶしてみたんです。
そしたら、背中のぬくもりに包まれた下の子がスーッと落ち着いていって、上の子とも落ち着いて向き合える余裕が生まれたんですよね。
そのとき思いました。
これ、手がもう一本増えたみたいだって。
おんぶしていれば、上の子と手をつないで絵本も読めるし、「大好きだよ」って目を見て伝えることもできる。
下の子も、ママの背中にいるだけで安心してくれる。
両手は空かないけど、両方の気持ちにちゃんと触れられる。
そんなふうに思えたんです。
“寝かしつけの儀式”を決めてルーティン化する
毎晩バタバタしてしまうのは、子どもたちにとっても予測がつかず不安になりやすい状態なんですよね。
だから、たとえば「お風呂→ミルク→絵本→おやすみのうた」というように、寝る前の流れを毎日だいたい同じにするだけで、子どもたちの気持ちが落ち着いていきやすくなります。
我が家では「小さなライトだけをつけて絵本を一冊読んだらおしまい」と決めてから、寝る前のバタつきが少しずつ減っていきました。
子どもって、同じパターンをくり返すことで安心感を得られる生き物なんですよね。
「あ、今から眠るんだな」って体と心が切り替えられるようになると、それだけで寝つきもスムーズになっていくんです。
ママが心地よいと感じる方法を見つけていい
誰かの「これが正解!」を無理に真似しなくてもいいし、寝かしつけの工夫はママが「これならできそう」と思えるやり方がいちばんです。
照明を少し暗くしてみたり、音楽をかけてみたり、リラックスできるアロマを取り入れてみたり。
夜がしんどく感じるときこそ、自分の気持ちもふっとほどける工夫を取り入れてみてくださいね。
赤ちゃんの泣き声に追い詰められすぎないために
赤ちゃんの泣き声って、どうしてあんなに胸に突き刺さるように響くんでしょうね。
特にワンオペで、誰にも代わってもらえない状況の中で聞く泣き声は、心をえぐられるような痛みをともなってくることがあります。
「早く泣き止ませなきゃ」「あの子を待たせてる」と焦る気持ちだけがどんどん膨らんで。
気がついたら自分の心の余裕がどこかに吹き飛んでしまっていた、そんな夜が何度もありました。
でも、赤ちゃんが泣くことって、決して「何かができていない証拠」ではないんですよね。
むしろ、赤ちゃんにとって泣くというのは“伝える”という大切な行動のひとつ。
そうわかっていても、あの泣き声の波に飲み込まれそうになる瞬間は、どうしてもあるんです。
“泣かせてしまった”という罪悪感に押しつぶされそうなとき
「下の子が泣いているのに上の子を優先した」
「どうしても手が足りなくて、しばらく放っておいてしまった」
そんな夜のあとに、「ごめんね」の気持ちが胸に残って眠れなかったこともありました。
でも、後になって思うんです。
あのとき泣かせてしまったのは、“子どもをないがしろにした”からじゃなくて、“どちらにもちゃんと向き合いたかった”からなんですよね。
だから感じたあの罪悪感は、むしろ愛情の深さの裏返しなんだと今は思えています。
泣かせてしまったあとに、優しく抱きしめてあげて「待っててくれてありがとう」と声をかけてあげる。
たったそれだけのことでも、赤ちゃんの心はちゃんと安心を取り戻していきます。
完璧にタイミングよく対応できなくても、そこに気持ちがあれば、それだけで十分に伝わっているんですよ。
“泣いても大丈夫”と思える自分を育てていく
誰だって、我が子が泣いているのを放っておくのはつらいし、できることならすぐに抱きしめてあげたいと思う。
でも、現実には手がふさがっていてどうにもならない瞬間もある。
そんなときに自分を責め続けてしまうと、心がどんどんすり減ってしまうんですよね。
だからこそ、
「泣いてても今は大丈夫」
「あとで必ず抱っこして安心させてあげよう」
と自分に言い聞かせて、少しずつ“揺るがない心”を育てていけるといいのかもしれません。
ママの余裕は、子どもにとっても安心につながるから。
焦らず、ひとつずつ、今できることからで大丈夫なんです。
ひとりで抱えきれない日が続くときは
年子の寝かしつけが毎日うまくいくなんて、そんなふうに思えたことは一度もなかったかもしれません。
どちらかが泣けば片方が起きて、眠ったと思ったらまた始まり、ようやく夜が終わったと思ったらもう朝が来ている。
そんな日々が続いていると、心がどんどん擦り減っていって、「私、このままで大丈夫かな」とふと立ち止まりたくなることもありますよね。
でもね、「苦しい」と思えるのは、あなたがちゃんと向き合って頑張っている証拠なんです。
だからこそ、その気持ちを誰にも言えずに、抱え込んだまま笑って過ごそうとしないでほしい。
しんどいときは「しんどい」と言っていいし、助けが必要なときには「助けて」と声を出していいんです。
心が限界に近づくサインに気づいてあげて
ママって、どうしてもがんばりすぎてしまう生きものなんですよね。
「ここで私が頑張らなきゃ」
「泣かせちゃダメ」
「迷惑かけちゃいけない」
って、心の中でいくつもいくつも“がまん”の積み重ねをしてしまう。
でも、その積み重ねが限界を超えると、
「ある日ふと涙が止まらなくなったり」
「子どもにきつく当たってしまったり」
自分でもびっくりするような言葉を吐いてしまうことだってあるんです。
だからその前に、自分の心の声に気づいてあげてください。
「もう無理かも」「誰かに聞いてほしいな」と思ったときは、遠慮しないで休んでいいんです。
あなたの心のバランスは、子どもたちの安心にも直結しているからこそ、まずはママ自身を守ることが本当に大事なんですよ。
頼れる場所があることを思い出して
もし近くに話を聞いてくれる人がいないと感じていたら、
「地域の子育て支援センター」
「保健師さんとの面談」
「一時預かり」
などを使ってみるのもひとつの方法です。
ほんの少し誰かと話すだけで、頭の中が整理されたり、「あ、こんなふうにすればよかったのかも」と気づけることもあるんです。
私自身、一時預かりを初めて使ったとき、「こんなにも深呼吸って気持ちよかったんだ…」と涙が出たことがあります。
数時間でも、ひとりの時間を過ごすだけで、自分に戻る感覚がよみがえってきて、また子どもたちに優しく向き合えるようになれたんです。
“ちゃんと頼る”ことも愛情のひとつ
「誰にも頼らずに、全部自分でやり切った」っていう達成感を目指してしまいがちだけど、それって本当はすごく危ういことなんですよね。
子どもたちにとって大切なのは、“頑張りきったママ”よりも、“笑っているママ”だったり、“話を聞いてくれるママ”だったりするから。
ひとりで限界まで頑張るよりも、誰かに少し助けてもらって、自分の余白を取り戻してあげるほうが、家族みんなにとっても優しい選択になることってたくさんあります。
だから、遠慮せずに頼ってくださいね。
あなたのがんばりは、もう十分すぎるほど伝わっているから。
まとめ|年子の寝かしつけは“完璧より続けられる形”を大切にしていい
年子の毎晩の寝かしつけって、まるでゆっくり深呼吸する間もなく押し寄せる波の中を泳いでいるようで、気がついたら心も体もぐったりしている日もあったんじゃないかなと思います。
私自身、上の子がようやく目を閉じた瞬間に下の子が泣き出して、ああもう全部ゼロに戻ったみたいだなと膝から崩れ落ちそうになった夜が山ほどありました。
でも後になって振り返ると、あの苦しかった時間にもちゃんと意味があって、子どもたちはそのたびにママの匂いや声や温度をしっかり受け取って安心していたんだなと思えるんですよね。
毎晩がんばってきたあなたの姿は、絶対に無駄じゃなかったし、子どもたちの記憶の奥に大事な安心として積み重なっているんですよ。
同時に寝かせようとしてうまくいかない日もあるし、泣かせてしまったことに胸が痛む夜もある。
それでも「こうしなきゃいけない」という思い込みを少しゆるめて、自分の心がラクでいられるやり方を選んでいいんです。
順番で寝かせてもいいし、おんぶしながら上の子を抱きしめてもいいし、泣いてしまってもあとでしっかり抱いてあげれば大丈夫なんですよ。
大切なのは、あなたの心が折れずに毎日を続けていける余白があること。
それが結果的に子どもたちの安心にもつながっていくんです。
どうか今日のあなたを責めないでね。
むしろ「今日もよくやったよ」と、そっと自分の背中を撫でてあげてほしい。
大変だった日も、思わず泣きたくなった日も、あなたが丁寧に積み重ねてきた時間は確かに子どもたちを育てているし、あなた自身も気づかないうちに大きな強さを身につけています。
明日もまた完璧じゃなくていいから、少し笑えるくらいの余白を持って進んでいけますように。
