
訃報はいつも日常の流れを急に止めてしまうような力を持っていて、どれだけ覚悟していたつもりでも心の奥に静かな痛みがじわっと広がっていくものですよね。
私自身も経験がありますが、胸の奥でざわつく感情を抱えたまま子どもを学校に休ませる連絡をしなければならないあの瞬間は、驚くほど言葉が出てこなくて。
電話の前でただ深呼吸を繰り返すしかできない時間がありました。
頭では状況を伝えなきゃとわかっているのに心がついてこない不思議な感覚があって、普段なら簡単なことも途端に難しく感じてしまうものなんですよね。
だからこそ、こうした場面では丁寧に言葉を選ぶよりも、まずは自分が今どんな気持ちでいるのかを受け止めることの方が大事なんじゃないかと私は感じています。
学校への連絡は義務ではありますが、同時に先生とつながるための安心の橋でもあって。
混乱していても気持ちが揺れていても、あなたが伝えようとするその姿勢だけで充分に受け取ってもらえるものです。
この記事では、そんな揺れる心にそっと寄り添いながら、無理のない形で学校に状況を伝えられるように手順や言葉選びをまとめています。
今ちょっと苦しいあなたが少しでも肩の力を抜ける時間につながれば嬉しいです。
まず知っておこう:忌引きで学校を休むときの“心の準備”
訃報というのは、たとえある程度覚悟していたとしても、実際にその知らせを受けた瞬間には心に波のような動揺が広がりますよね。
頭では理解していても、体も気持ちも追いつかない。
その中で「学校に連絡しなきゃ」と思ったとき、親としての責任感と感情の揺れがぶつかり合って、うまく動けなくなってしまうこともあると思います。
私も、子どもの祖父が亡くなったとき、連絡を入れなきゃとわかっていても、言葉にしようとすると涙がこぼれそうになって、電話の前でしばらく固まってしまった経験があります。
「うまく話さなきゃ」「失礼のないように」と思えば思うほど、言葉が遠く感じられて、ますます声が出なくなってしまう。
そんなときって、自分の中にある“混乱”を許せなくなったりもするんですよね。
でも実は、そんなふうに思いがけないタイミングで不安定になるのは、自然な反応なんです。
だからこそ、まずは「うまくやること」より「一歩ずつ落ち着いて向き合えること」を目指してほしいなと思います。
ここでは、連絡の手段や言葉の選び方に入る前に、まず大前提として知っておきたい“心の整え方”を一緒に見ていきましょう。
「失礼のないように」の前にある本当の気持ち
多くの人が、学校への連絡をするときに一番最初に考えるのが、「失礼にならないかな」という不安です。
でも、よく考えてみると、その気持ちの奥には「子どもが大事にされてほしい」「先生にちゃんと状況をわかってほしい」という、すごくあたたかくてまっすぐな願いがあるんですよね。
大切な人を亡くしたばかりのときには、自分でも気づかないうちに心がちいさく縮こまってしまっていて、
「迷惑じゃないかな」
「変に思われないかな」
と、誰かに対して構えてしまうこともあります。
でも、本当はきっと誰よりも子どもを思っているからこそ、慎重になるし、丁寧に伝えたいと思うんですよね。
その気持ちは、どんなに言葉が不器用になっても、ちゃんと相手に伝わります。
むしろ、型通りの言葉ではなく「今、自分が何を伝えたいのか」という心の声を、自分なりの言葉で届けることの方が、ずっと大切だったりするんです。
「先生に伝えること」は、子どもの安心にもつながる
学校に連絡を入れることは、ただの“出欠の報告”ではなく、先生と家庭が「子どもを一緒に支えていく」ための最初の橋渡しでもあります。
とくに、身内の死を初めて経験する子どもにとって、葬儀や家族の沈んだ空気の中で、何をどう感じたらいいのか分からず戸惑っていることも少なくありません。
そんな中で、先生が事情を知っていてくれるだけで、学校といういつもの場所が「ちょっと優しくなる」んです。
「おはよう」と声をかけてもらったり、いつもより少しだけ配慮して接してもらえることで、子どもは“ここにいていい”と安心できる。
その安心の土台をつくるためにも、保護者の一言はとても大きな意味を持ちます。
だからこそ、言葉に詰まってしまっても、震える声でも、「伝えようとしている気持ち」があるだけで十分に意味があるんですよね。
深呼吸ひとつから始めてみよう
もし今、気持ちがざわついて言葉が出てこないなら、まずは深呼吸をひとつしてみてください。
大きく吸って、ゆっくり吐く。
たったそれだけのことで、少しだけ気持ちに隙間ができます。
その“余白”があるだけで、次にやるべきことが見えてくることもあるんです。
「自分は今、大事なことをしようとしてる」と認めてあげるだけで、すこし気持ちは落ち着きます。
無理に感情を抑えようとしなくて大丈夫ですし、先生もそういうときの保護者の気持ちをわかってくれています。
大切なのは完璧に話すことではなく、ちゃんと伝えようという“まなざし”なんですよね。
連絡方法を選ぶ前にチェックしたいこと
忌引きで学校をお休みすることが決まったとき、まず悩むのが「どうやって伝えたらいいのか」ということですよね。
電話をするべきか、連絡帳で伝えてもいいのか、正解がひとつに決まっていないからこそ、不安になってしまう方も多いと思います。
でも大丈夫です。
どちらの方法も、相手に気持ちが伝わればちゃんと意味がありますし、あなたとお子さんの状況に合った方法を選んでいいんですよ。
実際、連絡の手段は家庭の事情や学校との関係性、タイミングによって変わってくるものです。
だからこそ、「迷ったときは電話で」が基本とはいえ、必ずしもそれにこだわる必要はありません。
ここでは、それぞれの方法の特徴や向いているケースを整理しながら、あなたが安心して「伝える」ための選択肢を考えていきましょう。
電話 or 連絡帳?どちらが安心かの判断ポイント
電話は直接会話ができるぶん、細かなやりとりがしやすくて、伝え間違いのリスクも少なくなります。
たとえば、「祖父が亡くなって今日から3日間休ませます」と伝えるだけでなく、葬儀の場所が遠方であることや、日程がずれる可能性があることまで補足できるんですよね。
でも一方で、訃報直後というのは気持ちが揺れているタイミングでもあります。
電話で話すのがつらい、声に出すと泣いてしまいそう、そんな気持ちになることもあると思います。
そんなときは無理をせず、連絡帳という手段を選ぶのも立派な判断です。
子どもが低学年であれば、通学班の班長さんに連絡帳を託すこともできますし、先生方もそのような状況に慣れていることが多いので、決して失礼にはなりません。
家庭状況・学年・学校の雰囲気で変わる選び方
共働きで朝の時間が慌ただしいご家庭や、小さなお子さんを抱えている場合、電話をかけるだけでも一苦労ですよね。
また、学校によっては「連絡帳で事前に伝えてもらえれば十分です」と考えているところもあります。
お子さんの学年や担任の先生のタイプによっても、連絡の受け取り方には幅があります。
私の知人は、中学生の子どもの忌引き連絡を朝の電話で伝えたとき、「ご丁寧にありがとうございます。
もし連絡帳でご一報いただければそれでも大丈夫でしたよ」と言ってもらえたそうです。
そんなふうに、学校側も保護者の状況を汲んでくださる場合が多いので、「うちの子の学校ならどうかな?」と考えてみることも、方法選びのヒントになりますよ。
連絡前に整理しておきたい「伝えるべき情報」リスト
電話でも連絡帳でも、伝えるべきことは大きく変わりません。
だからこそ、あらかじめ整理しておくことでどちらの手段でも落ち着いて対応できるようになります。
まず伝えたいのは、
「子どもの学年・名前」
「亡くなった方との続柄」
「欠席する日数(または期間)」
「連絡が必要な場合の電話番号」
この4つです。
そして可能であれば、「お手数をおかけしますが、よろしくお願いします」といったひとことも添えておけると、気持ちが伝わりやすくなります。
急いでいるときや混乱しているときには、メモに書いて手元に置いておくだけで、言葉がスムーズに出てきやすくなりますよ。
「これだけ伝えれば大丈夫」と思えることで、気持ちにも少し余裕が生まれてくるんです。
電話で連絡をする場合:ステップと例文
忌引きの連絡を電話で伝えるのは、やはり直接声を届けられる分、安心感がありますよね。
でも、同時に「言葉が出てこなかったらどうしよう」「変に思われないかな」と緊張してしまうのも自然なことです。
私も経験がありますが、電話の前で何度も深呼吸を繰り返してから、ようやく受話器を持ち上げたことがあります。
そんなときにいちばん大事なのは、“完璧に話す”ことではなく、“今の状況をできる範囲で丁寧に伝える”ことなんですよね。
ここでは、電話での伝え方をスムーズにするためのポイントや例文を紹介します。
不安を感じやすい方でも、少し準備をしておくだけで、きちんと伝えることができますよ。
ベストなタイミングっていつ?
電話をかけるタイミングは、思っている以上に迷いますよね。
早すぎると先生がまだ出勤していなかったり、遅すぎると朝の会や教室対応で忙しい時間にかかってしまったりすることもあります。
おすすめなのは、登校前の「朝7時30分から8時ごろ」。
この時間帯は職員室に先生が集まり始める時間でもあり、担任の先生にも比較的つながりやすいんですよ。
もし前日から忌引きが決まっている場合は、前日の夕方に連絡を入れておくのも一つの手です。
ただし、下校直後は忙しいことが多いので、「15時半~16時半ごろ」の少し落ち着いた時間を選ぶと安心です。
「どのタイミングでかけたら負担にならないか」と考える気づかいも、先生にきっと伝わるはずです。
頭が真っ白でも大丈夫:話す前の準備
突然の訃報に気持ちが追いつかず、電話をかけようとしても頭が真っ白になってしまうことってありますよね。
私自身も、受話器を持ってから言葉が出てこなくなり、そのまま数秒間、何も言えずに黙ってしまったことがあります。
でも、そんなときほど、事前に小さなメモを用意しておくだけで、気持ちの整理がずいぶんラクになります。
メモには、「子どもの名前」「続柄」「欠席の予定日数」「連絡先」など、最低限伝えたい情報を書き出しておくだけで大丈夫です。
それを見ながら話せばいいと思うだけで、安心感が生まれます。
「うまく言えなくても大丈夫、伝えようとしている気持ちはちゃんと届く」と、自分にやさしく声をかけてあげることも忘れないでくださいね。
そのまま使える例文&アレンジのコツ
ここで、実際に電話口でそのまま使える例文を紹介します。
もちろんそのまま読んでも問題ありませんし、自分の状況に合わせて少しアレンジしてもOKです。
○年○組の○○の母です。
祖父が昨日亡くなりまして、通夜と葬儀に参列するため、○日から○日まで学校をお休みさせていただきます。
何かありましたら、私の携帯○○-○○○○-○○○○までご連絡いただけますと助かります。
ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
たとえ声が震えていても、言葉がたどたどしくても、それは先生にきっと伝わります。
伝えるべき内容が整理されていることで、先生も状況を理解しやすくなり、子どもの学校生活に配慮してもらいやすくなるので、安心して話してみてくださいね。
連絡帳・書面で伝える場合:書き方のポイント
電話でのやりとりが難しいときや、前もって欠席がわかっているときには、連絡帳やメモ書きで伝えるという選択もできますよね。
声に出すのがつらいとき、感情がこみ上げてしまいそうなとき、「書く」という方法は、自分のペースで気持ちを整えながら伝えることができる心強い手段になります。
ただし、連絡帳は会話のように補足ができない分、「何を、どう書くか」に少し工夫が必要です。
必要な情報がきちんと整理されていれば、先生にも安心して受け取ってもらえますし、あなた自身も「ちゃんと伝えられた」という気持ちになれますよ。
ここでは、書き方のポイントやそのまま使える例文をご紹介していきますね。
書いて伝えるときに大切なこと
電話とは違い、連絡帳では一方通行の伝え方になります。
そのため、「簡潔でわかりやすく、でも丁寧に」が基本になります。
特に大切なのは、「何の理由で、いつからいつまで休むのか」という点をはっきりさせておくことです。
気をつけたいのは、気持ちが焦ってしまって大事な情報が抜けてしまうこと。
だからこそ、あらかじめ頭の中で内容を整理して、書く前に軽くメモで下書きを作っておくとスムーズです。
書くことで自分の気持ちも整理されて、「これで大丈夫」と思えるようになりますよ。
最低限押さえる4つの情報
伝えるべき情報は、大きく分けて次の4つです。
- お子さんの名前と学年・クラス
- 亡くなられた方との続柄(祖父・祖母など)
- 欠席する日数や期間(○月○日~○月○日)
- 必要であれば、連絡先と簡単なお願いや感謝のひと言
変更がある場合は改めてご連絡いたします。
お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
例文付き:先生・班長さんへの配慮も
連絡帳を通学班の班長さんやお友だちに預けて届ける場合には、ちょっとした気づかいの言葉を添えるだけで、印象がとてもやわらかくなります。
たとえば、
「班長さんにお手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。」
という一文を添えておくと、受け取る側の気持ちもぐっと軽くなるんですよね。
また、先生への言葉も
「ご多忙のところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。」
のように、シンプルな中にも丁寧な気持ちを込められると素敵です。
書き慣れない状況で無理に完璧な文章を目指す必要はなく、「伝えたい気持ちがきちんと届くかどうか」を意識すれば大丈夫です。
忌引き日数・扱いの疑問をクリアに
「どこまでが忌引きとして認められるのか」というのは、多くの保護者がつまずきやすいポイントです。
私自身も、初めて忌引きの連絡をしたとき、日数の数え方や土日をどう扱うのかがわからず、先生に聞くまで不安が残ったままでした。
こうした曖昧さがあると、ただでさえ落ち着かない状況の中で、不安がさらに膨らんでしまうんですよね。
だからこそ、ここでは「忌引きとして認められる日数の考え方」をわかりやすくまとめています。
学校によって細かなルールが異なることもありますが、基本的な考え方を知っておくだけで、先生への相談や連絡がぐっとスムーズになるはずです。
焦らず、ひとつずつ整理していきましょう。
続柄ごとに変わる“目安の日数”
学校では、亡くなった方との関係性によって、お休みとして認められる“目安の日数”が決まっていることが多いです。
たとえば、祖父母の場合は2~3日程度が一般的で、通夜や葬儀にかかる日数を基準に判断されるケースが多いとされています。
ただし、これはあくまで目安であり、家庭の事情や葬儀の日程、移動の必要性などによって変わることもあります。
そのため、「本日から○日を予定していますが、変更があればご連絡します」といった柔らかい伝え方をしておくと、学校側も状況を理解した上で対応しやすくなります。
家庭によって状況はさまざまです。
だからこそ、「一般的にどうか」だけではなく、お子さんと家族の状況に合わせて、柔軟に先生と相談しながら決めていくのが安心につながります。
亡くなった日や葬儀の日程…どこから数える?
忌引きの日数をどこからカウントするのかは、意外と曖昧で悩みやすい部分です。
多くの学校では、「亡くなった日を含めるかどうか」「お通夜や葬儀の日を起点にするか」が学校の判断に委ねられています。
たとえば、「日曜に亡くなり、お通夜が月曜、葬儀が火曜」というようなケースでは、「月曜と火曜を忌引きとしてカウントする」という考え方をとる学校もあれば、「亡くなった日も含む」と説明される場合もあります。
だからこそ、担任の先生にあらかじめ
「◯日に亡くなりまして、◯日に通夜、◯日に葬儀を予定しています」
と伝えておくことが大切です。
途中で早退したケースも同じで、「その日を忌引きとして扱うのか」「早退扱いになるのか」は先生に相談することで柔軟に判断してもらえることがあります。
状況を隠さず、できる範囲で丁寧に共有しておくと、後の記録もスムーズですよ。
土日や祝日はカウントに入るの?
週末に葬儀が行われるパターンはとても多いですよね。
土日に通夜と葬儀を終えた場合、「月曜は登校する予定だけど、これって忌引きになるの?」と迷ってしまう方も多いはずです。
多くの学校では「土日や祝日は登校日ではないため、忌引きの日数に含めない」という考え方がとられています。
ただし、地域や学校によっては「亡くなった日から一連の期間を忌引きとする」というケースもあります。
「なぜこんなに差があるの?」と思うかもしれませんが、実際には学校の方針、地域の習慣、管理システムの違いなど、さまざまな理由があります。
大切なのは、こちらがひとりで答えを出そうとせず、「この日程で考えていますが、学校としてはどのように扱われますか?」と先生に相談してみることなんですよね。
迷ったときは“すり合わせる”ことで安心に
結局のところ、忌引きの扱いは「一律ではない」からこそ、先生とのすり合わせが安心につながります。
「間違っていたらどうしよう」と不安を抱えたままでは、気持ちが休まりませんよね。
私も、日程が複雑で悩んでいたとき、思い切って先生に相談したら「もちろん大丈夫ですよ。
まずはご家族を優先してくださいね」と言っていただき、その言葉で肩の力が一気に抜けたことがあります。
先生は、保護者が気づかない部分まで気を配ってくださっていることが多いので、気負わず相談してみてくださいね。
あなたが落ち着いて判断できるように、きっと寄り添ってくださるはずです。
登校再開時に伝えておきたいこと
数日間の忌引きを終えて子どもが学校へ戻る日、保護者としても「無事に戻れてよかった」と胸をなでおろす気持ちがある一方で、
「先生にはどう伝えたらいいかな」
「まだ気持ちが不安定そうだけど大丈夫かな」
といった不安がふと顔をのぞかせることもありますよね。
とくに、子どもにとって身近な人との別れが初めてだった場合、表面上は普段通りに見えていても、心の奥では整理がつかずに揺れていることも多いんです。
そんなときこそ、登校再開のタイミングで先生にひとこと伝えておくことが、子どもにとっての安心感につながっていきます。
「もう済んだこと」として終わらせずに、ちょっとした言葉を添えることが、先生との信頼関係をより深くしてくれるんですよね。
「もう大丈夫?」の裏側にある気持ち
忌引きから戻ってきた子どもが元気に見えると、「よかった、もう大丈夫そう」と感じたくなるのが親心ですよね。
でも、元気に見せているのは“学校では頑張ってふるまっているだけ”ということも少なくありません。
大人でも、日常に戻ったからといってすぐに気持ちが切り替わるわけではないように、子どもだって見えないところで頑張っているかもしれません。
だからこそ、「大丈夫そうに見えるけど、少し気にかけてもらえると助かります」といった形で先生に伝えておくと、学校でもやさしく見守ってもらえるきっかけになりますよ。
先生への一言:感謝と共有のタイミング
忌引き中に先生から連絡帳でお返事をいただいたり、子どもに声をかけてくださっていた場合には、そのことへの感謝をそっと添えて伝えるだけでも十分です。
かしこまったお礼状などは不要で、たとえば、
「お気づかいいただきありがとうございました。子どもも落ち着きを取り戻しつつあります。」
のような一言でも、先生にとってはとても嬉しいものです。
気持ちがちゃんと届いていたことが伝わると、先生も安心してサポートしてくださいますし、今後のやりとりがよりスムーズになります。
子どもの心の動き、さりげなく共有しておく
自宅では少し塞ぎこんでいたり、夜になると涙ぐんでしまうような様子があった場合。
そのことを連絡帳などで軽く共有しておくと、先生も心の準備ができて、子どもの微細な変化に気づきやすくなります。
「家では少しナイーブになっているようです。学校では普段通りに振る舞っているかもしれませんが、気になることがあれば教えていただけるとありがたいです。」
といった伝え方であれば、お願いというより“見守ってほしい”というスタンスが伝わって、先生にも負担をかけにくくなります。
勉強の遅れやテストへの不安も一緒に伝えて
忌引きで数日休んだ後、「授業がどこまで進んでいるのか」「テストに間に合うかな」と子ども自身が不安になることもあります。
とくに高学年や中学生になると、学習面の遅れがストレスになりやすいんですよね。
そんなときは、
「もし可能であれば、宿題やプリントをいただけますか」
「テスト範囲の確認だけお願いできますか」
といった形で、さりげなく先生に協力をお願いしておくと、子どもも安心して勉強に取り組むことができます。
休ませるか迷ったとき:親子で考える判断基準
「全部休んだほうがいいのかな、それとも途中から登校してもいいのかな」
大切な人の葬儀を前にして、こんなふうに迷ったことのある親御さんは多いと思います。
実際、私も子どもから「おじいちゃんにちゃんとお別れしたいけど、テストも心配」と涙ながらに打ち明けられたとき、どちらを優先すればいいのか頭を抱えました。
でもこのとき感じたのは、「どちらかを我慢する」ではなく、「どちらも大切にできる方法を一緒に考えればいいんだ」ということでした。
大人の視点だけで決めるのではなく、子どもの気持ちや表情に目を向けながら、一緒に“その子にとってのベスト”を見つけていくことが何より大事なんですよね。
大切なのは“子どもの心”を見てあげること
祖父母との関係性は家庭によってさまざまです。
「一緒に暮らしていた」「毎週会っていた」というように深く関わってきた場合、子ども自身の心の揺れも大きくなります。
一方で、「遠方で数回しか会ったことがない」「あまり思い出がない」という場合は、気持ちの整理も比較的スムーズかもしれません。
ただ、ここで大切なのは“大人から見た関係性”ではなく、“子ども自身の気持ち”です。
「みんなに会った方が落ち着く」
「逆に一人で静かに過ごしたい」
など、本人の中にある小さな声を、否定せずに一緒に聞いてあげてほしいなと思います。
無理をさせない、でも閉じ込めない
子どものことを思えばこそ、
「休ませてあげた方がいいのでは」
「心の整理がつくまでそばにいた方が安心かも」
と考える親御さんも多いですよね。
実際、私も「まだ泣いているし無理に行かせるのはかわいそう」と思ったことがあります。
でも、あるとき本人から「ずっと家にいると、逆に辛い」と言われたんです。
たしかに、家にいることで考えすぎてしまったり、気持ちがどんどん沈んでしまうこともあるんですよね。
学校で友達に会って、先生に声をかけてもらうことで心が少し軽くなる子もいます。
「休ませる=優しさ」とは限らないし、「登校させる=冷たい」わけでもない。
その子にとって、いちばん安心できる環境はどこなのかを一緒に探す。
その姿勢こそが、親としての本当の支えになるのだと思います。
柔軟な対応はできる:学校との相談もひとつの手
葬儀と登校、どちらも大切にしたいと思ったとき、「一部だけ出席する」という選択肢もあります。
たとえば、お通夜には参加し、翌日の葬儀は家族に任せて学校へ行く。
あるいは、午前中だけ登校し、午後に出発する。
そんな柔軟な対応ができることも少なくありません。
とくに受験生やテスト期間中など、どうしても外せない予定がある場合は、事前に学校に相談しておくことで、別日対応や課題のフォローを提案してもらえるケースもあります。
「こんな相談してもいいのかな」と遠慮せず、まずは「どうしたら一番無理なく過ごせるか」を一緒に考える姿勢が、先生方にも伝わるはずです。
まとめ:気持ちを大切にしながら伝えるために
大切な人を失ったとき、どれだけ心の準備をしていたとしても、やっぱり現実は想像以上に静かで重たくて、胸の奥にぽっかり穴が空いたような感覚になりますよね。
そんな中で、「学校に連絡を入れなきゃ」「子どものこともしっかりしなきゃ」と思う気持ちが湧いてくるのは、本当に立派なことなんです。
でも同時に、その優しさや責任感が、どこか自分を追い込んでしまうこともあるかもしれません。
私もそうでした。
電話をかけようとしても涙がこみ上げてきて、言葉がうまく出てこなくて、「こんなときにすらちゃんとできないの?」と自分を責めたくなったことがありました。
でも、今なら言えます。
「うまくやること」よりも、「自分のペースでやること」がいちばん大切だって。
学校への連絡や先生とのやりとりって、たしかに少し緊張しますよね。
でも、それは「ちゃんと伝えたい」「子どもにとって安心できる環境をつくってあげたい」という、あたたかい想いがあるからこそなんです。
言葉に詰まってしまっても、涙が出てしまっても、その気持ちは先生にきっと伝わります。
むしろ、そんなふうに丁寧に向き合ってくれている保護者の姿勢を、先生はとてもありがたく感じているはずです。
そして、連絡の方法に正解はありません。
電話でも連絡帳でも、自分が無理なく伝えられる手段を選べば大丈夫。
迷ったときは、「どうやったら気持ちを届けられるかな」という視点で考えてみてください。
言葉の正しさではなく、想いの伝わり方が大切なんですよね。
この記事が、もしも今まさに「どうしたらいいの?」と立ち止まっている誰かの背中を、ほんの少しでもやさしく押せていたら、そんなにうれしいことはありません。
あなたのそのひとつひとつの気遣いが、きっと子どもにとっても、先生にとっても、温かな記憶として残っていきますように。

