
「そろそろ離乳食かな?」とカレンダーを眺めては、なんとなくページを閉じてしまう。
そんな日が続いていませんか。
生後5ヶ月を過ぎたあたりから、育児書やネットには「5〜6ヶ月頃から」と書いてある。
でも、いざ自分の赤ちゃんを目の前にすると、
「この子は本当に今でいいの?」
「まだ早いんじゃない?」
「逆に遅れてる?」
そんなふうに、判断する基準が分からなくて一歩が踏み出せない。
よく分かります。
実は、離乳食を始めるタイミングは月齢の数字だけで決めるものではなくて、赤ちゃん自身が「準備できたよ」と教えてくれるサインがあるんです。
この記事では、そのサインの見極め方を、おうちでの確かめ方つきでお伝えします。
読み終わるころには、「今がうちの子のタイミングかも」と、自信を持って一歩を踏み出せるようになりますよ。
離乳食は月齢よりも赤ちゃんのサインで判断して大丈夫
離乳食を始める時期は、「生後何ヶ月になったから」という数字よりも、赤ちゃんが見せてくれる「準備OKのサイン」で判断していいんです。
厚生労働省の資料でも、離乳食を始める目安は生後5〜6ヶ月頃とされていますが、同時に「月齢はあくまでも目安」「子どもの様子をよく観察しながら、赤ちゃんの食べたがっているサインに気づくことが大切」とはっきり書かれています。
つまり、カレンダーとにらめっこして「5ヶ月になった、さあ始めなきゃ」と焦る必要はありません。
逆に、6ヶ月に近づいてきてサインが揃ってきたなら、「うちの子、ちゃんと準備できてるんだ」と安心して始めていいということ。
「うちの子、まだ早いかな…」「もう遅いのかな…」と毎晩のように考えていたなら、もう大丈夫。
これから紹介する4つのサインを、あなたの赤ちゃんに当てはめてみてください。
きっと、答えはあなたの目の前にいる赤ちゃんが教えてくれます。
なぜ月齢の数字だけで決めなくていいのか
「でも、育児書には5〜6ヶ月って書いてあるし…」という気持ち、残りますよね。
なぜ数字だけにこだわらなくていいのか、その理由をお話しします。
赤ちゃんの発達には大きな個人差があるから
同じ「生後5ヶ月」でも、寝返りがスムーズな子もいれば、まだの子もいます。
よだれがダラダラの子もいれば、あまり出ない子も。
これは発達のスピードに、もともと一人ひとり差があるからなんです。
身長や体重に個人差があるのと同じで、「食べる準備が整うタイミング」にも幅があります。
だから、よその子が5ヶ月ちょうどで始めたからといって、自分の子も同じである必要はまったくないんです。
大切なのは、よその子と比べることではなく、目の前の我が子をよく見てあげること。
これが、月齢の数字よりサインを優先する一番の理由です。
体が準備できる前に始めると赤ちゃんがつらいから
生まれたばかりの赤ちゃんには、口に入ってきたものを舌で押し出す「哺乳反射」という反応があります。
これはおっぱいやミルクを飲むための大事な仕組みなのですが、この反射が残っているうちは、スプーンを口に入れても無意識に押し出してしまうんです。
この反射は、だいたい生後5〜7ヶ月頃にだんだん弱まっていくとされています。
反射が残っている時期に無理に始めると、赤ちゃんが食べないのは「嫌だから」ではなく「まだ反射で押し出しちゃうから」。
これを「うちの子、食べてくれない」と落ち込んでしまうのは、ちょっともったいないですよね。
体の準備が整うのを待ってあげたほうが、赤ちゃんもスムーズに食べられて、お互いにラクなんです。
早すぎても遅すぎても、それぞれ気になる点があるから
始める時期には、ゆるやかな「ちょうどいい窓」があると考えられています。
あまり早すぎると、消化器官にまだ負担がかかりやすいと言われています。
一方で、遅すぎる場合に気になるのが鉄分です。
赤ちゃんはお腹の中でママからもらった鉄を蓄えて生まれてきますが、その蓄えは生後6ヶ月頃には少なくなってくるとされています。
母乳には鉄分があまり多く含まれないため、適切な時期に離乳食から鉄分を補っていくことが大切だと考えられているんです。
とはいえ、これは「1日でも遅れたら大変」という話ではありません。
5〜6ヶ月頃という幅のなかで、サインを見ながら始められれば十分。
神経質になりすぎなくて大丈夫ですよ。(とはいえ気になりますよね、その気持ちもすごく分かります)
私も第一子のとき、母子手帳の「5〜6ヶ月」という文字だけを頼りに、5ヶ月になった翌日にいきなりおかゆを作ったんです。
でも娘はベェッと押し出すばかり。
今思えば、あれはまだ哺乳反射が残っていただけ。
数字より先に、娘の口の動きを見てあげればよかったなと反省しました。
赤ちゃんが教えてくれる4つの開始サイン
それでは、具体的にどんなサインを見ればいいのかをお伝えします。
厚生労働省の資料で挙げられている代表的なサインは、次の4つです。
- 首のすわりがしっかりして、寝返りができる
- 支えてあげると5秒以上座っていられる
- スプーンなどを口に入れても、舌で押し出すことが少なくなる
- 食べ物に興味を示す
ひとつずつ、おうちでの見極め方を見ていきましょう。
首のすわりと寝返りはこう確かめる
首がすわっているかどうかは、いくつかの方法で確かめられます。
たとえば、赤ちゃんを縦に抱っこしたとき、頭がグラグラせずにまっすぐ保てているか。
うつ伏せにしたときに、自分で頭を持ち上げて、左右に向きを変えられるか。
仰向けの状態から両手をそっと引いて起こしたときに、頭が体から遅れずについてくるか。
こうした様子が見られれば、首がしっかりしてきたサインです。
寝返りも、コロンと自分で体を返せるようになっていれば、体幹がしっかりしてきた目安になります。
引き起こしのチェックはやさしく
仰向けから引き起こすチェックをするときは、急に引っ張らず、ゆっくりと様子を見ながら行ってください。
少しでも不安があるときや、首のすわりがまだあやしいなと感じるときは、無理に確かめようとせず、健診のときに専門家に見てもらうのが安心です。
お座りは「支えて5秒」で見る
ここでいうお座りは、「ひとりで完璧に座れる」必要はありません。
大人が支えてあげたり、クッションやイスにもたれさせたりした状態で、5秒以上ぐらつかずにいられればOKです。
確かめるときは、赤ちゃんをイスに座らせたり、後ろから脇を支えたりして、頭と上半身が安定しているか見てみてください。
スマホのタイマーで5秒数えてみると分かりやすいですよ。
グラグラせずに座っていられたら、食べる姿勢が取れる準備が整ってきたということ。
ちなみに、この「座って食べる姿勢」が取れることは、安全に飲み込むためにも大切なポイントです。
哺乳反射が弱まったかは口元で分かる
さきほどお話しした「舌で押し出す反射」が弱まってきたかどうかは、おうちで簡単に確かめられます。
きれいに洗った指やスプーンを、赤ちゃんの下唇にそっと当ててみてください。
このとき、舌でグイグイ押し返してくるようなら、まだ反射が残っているサイン。
逆に、あまり押し出さずに受け入れる感じになっていれば、反射が弱まってきた目安です。
スプーンを嫌がって押し出すのは「拒否」ではなく「反射」であることが多いので、ここを見極められると、「うちの子は食べる気がないのかも」という誤解をしなくてすみます。
食べ物への興味はこんな様子に表れる
4つのなかでも、いちばん分かりやすくて、ママの背中を押してくれるのがこのサインかもしれません。
たとえば、家族が食事をしているのをじーっと見つめる。
大人が食べる様子を見て、口をモグモグ動かす。
よだれがいつもより増える。
食べ物に手を伸ばそうとする。
一緒に食卓につくと、口を開ける。
こうした様子が見られたら、「食べることに興味が出てきたんだな」というサインです。
実際、離乳食を始めるきっかけとして「スプーンに興味を持った」「家族のごはんに興味を示した」「食卓に一緒に座って楽しそうにしていた」といったことを挙げるママは多いようです。
赤ちゃんの「食べてみたい」という気持ちは、こんなふうに日常のなかにちゃんと表れてくるんですね。
全部揃わなくても大丈夫という考え方
ここで大事なことをひとつ。
4つのサインが、ある日いっせいに揃うわけではありません。
サインは、2〜3週間くらいかけてだんだん表れてくるものだと考えておくと気がラクです。
なかでも、首がすわっていることと、支えれば座れることは、安全に食べるための土台になる部分。
ここがクリアできていて、食べ物への興味も見えてきたなら、すべてが完璧に揃っていなくても、少しずつ始めてみていいタイミングと考えられます。
「4つ全部チェックがつくまで待たなきゃ」と気負わなくて大丈夫。
赤ちゃんの様子を、ゆったり眺めてあげてくださいね。
こんなときどうする?判断に迷うケースと進め方
ここからは、「サインは分かったけど、うちの場合はどうなの?」という、もう一歩踏み込んだ迷いにお答えします。
実際につまずきやすいポイントを見ていきましょう。
6ヶ月を過ぎてもサインが出ないとき
6ヶ月が近づいても、食べ物に興味を示さない、スプーンを嫌がる。
そんなとき、「うちの子だけ遅れてる」と不安になりますよね。
でも、これは決して珍しいことではありません。
「6ヶ月でも口を開けてくれない」「スプーンを全力で拒否する」といった声は、実はたくさんあります。
とくに母乳をしっかり飲んでいる赤ちゃんは、離乳食の進みがゆっくりめになることもあると言われています。
まずは1〜2週間ほど、焦らず様子を見てみましょう。
その間も、家族の食事の様子を見せてあげたり、一緒に食卓についたりして、「食べるって楽しそう」という雰囲気に触れさせてあげるといいですね。
相談先を知っておくと安心
それでも気になるときや、サインがなかなか見えてこないときは、ひとりで抱え込まなくて大丈夫。
お住まいの地域の保健センターでは、栄養士さんや保健師さんに離乳食の相談ができます。
4ヶ月健診や、その後の健診のタイミングで聞いてみるのもいいですね。
体重の増え方が気になる、食べないことがずっと続いて心配、というときは、かかりつけの小児科で相談してみてください。
「相談していい」と知っているだけで、ぐっと気持ちがラクになります。
始めてみたけど嫌がるとき
思いきって始めてみたのに、赤ちゃんが嫌がる、吐き出す。
これもよくあることなので、自分を責めないでくださいね。
そんなときは、いったんお休みして、数日後にまた試してみるのもひとつの方法です。
3〜4日お休みしてから再開したら、すんなり食べてくれた、という話もあります。
一度始めたら毎日続けなきゃいけない、なんてルールはありません。
赤ちゃんのペースに合わせて、行ったり戻ったりしていいんです。
イスの角度を変えてみる、スプーンを変えてみる、といった小さな工夫で食べるようになることもあるようです。
「合うやり方」を一緒に探していく感覚で、気楽にいきましょう。
「早すぎたかも」と思ったら一度立ち止まる
始めてみて「あれ、まだ早かったかな」と感じたら、無理に進めず一度立ち止まって大丈夫です。
製氷皿で作ったおかゆを赤ちゃんが食べてくれず、結局ぜんぶ自分で食べた…なんて話も(作った分がもったいなくて、つい)。
リセットして仕切り直すのは、失敗ではありません。
早産で生まれた赤ちゃんの場合
予定日より早く生まれた赤ちゃんの場合は、実際の月齢ではなく「修正月齢」で考えるのが基本とされています。
修正月齢とは、出産予定日を基準にして数えた月齢のこと。
たとえば予定日より2ヶ月早く生まれた赤ちゃんなら、生まれてから5ヶ月経っていても、修正月齢では3ヶ月、ということになります。
この場合は、修正月齢で5〜6ヶ月頃を目安に考えていきます。
早産で生まれた赤ちゃんに、実際の月齢をそのまま当てはめる必要はありません。
不安なときは、かかりつけの小児科で開始時期を相談しておくと安心ですね。
湿疹やアレルギーが心配なとき
「アレルギーが怖いから、離乳食を遅らせたほうがいいのかな」と考えるママもいるかもしれません。
でも、離乳食の開始や特定の食べ物を遅らせることで、食物アレルギーを予防できるという科学的な根拠はないとされています。
むしろ、自己判断で「念のため」と特定の食材を避けるのは、おすすめされていません。
ただし、なかなか治らない湿疹がある赤ちゃんの場合は、少し事情が変わります。
肌の状態とアレルギーには関わりがあると考えられているため、こうしたケースでは、離乳食を始める前に小児科医に相談しておくのが安心です。
時期を遅らせるというより、肌のケアをしながら進めていく、というイメージですね。
家族にアレルギーのある人がいる場合も、開始時期そのものを変える必要はないとされていますが、初めての食材はかかりつけ医が診療している時間帯に、少量から試すようにすると安心です。
祖父母世代のアドバイスとの向き合い方
「果汁から慣らすといいわよ」「卵はもっと後にしなさい」。
実家や義実家で、こんなアドバイスをもらって戸惑ったことはありませんか。
実は、離乳食の進め方は時代とともに変わってきています。
かつては離乳食の前に果汁を飲ませる指導がありましたが、今はその必要はないとされています。
卵についても、以前より早い時期から少量ずつ試していく考え方に変わってきました。
おじいちゃん、おばあちゃんのアドバイスは、わが子を育てた経験からくる愛情ゆえのもの。
頭ごなしに否定する必要はありませんが、「今はこういう進め方なんだって」と、最新の情報をやんわり共有できるといいですね。(板挟みになって疲れちゃう前に、ね)
始める前に知っておきたい注意点
最後に、安心して離乳食をスタートするために、押さえておきたい注意点をまとめます。
絶対に守りたい食材のルール
これだけは必ず覚えておいてほしいことがあります。
はちみつは、1歳を過ぎるまで絶対に与えないでください。
乳児ボツリヌス症という、赤ちゃんにとって危険な病気の原因になることがあるためです。
これは加熱しても防げないので、はちみつ入りのお菓子やパンにも注意が必要です。
また、離乳食を始めるのは生後5〜6ヶ月頃から。
4ヶ月未満の早い時期に始めるのは、体の準備が整っていないため避けてくださいね。
最初の一口はこう始める
いざ始めるとなったら、まずはなめらかにすりつぶした10倍がゆを、小さじ1杯から。
これが基本です。
初日から3日ほどは小さじ1杯ずつ、赤ちゃんの様子を見ながら進めます。
問題がなさそうなら、少しずつ量を増やしていきます。
食材は、おかゆ→野菜や芋類→豆腐や白身魚、というように、アレルギーが出にくいものから順に試していくのが一般的な流れです。
最初の1ヶ月くらいは、食べることそのものに慣れる期間。
量がしっかり食べられなくても、まったく問題ありません。
おっぱいやミルクは、赤ちゃんが欲しがるだけあげて大丈夫です。
初めての食材は平日の午前中に
新しい食材を試すときは、平日の午前中がおすすめです。
万が一、食べたあとに体調の変化があったとき、すぐに病院を受診できるからです。
土日や夜間は診療していない病院も多いので、初めての食材は「何かあってもすぐ動ける時間帯」に試しておくと、ママも安心して見守れますよ。
新しい食材は1日にひとつずつ。
同じ日に初めてのものを2つ3つ試すと、もし何かあったときにどれが原因か分からなくなってしまうので、ひとつずつがおすすめです。
私は娘の離乳食デビューを、夫が休みの土曜の朝にしたんですが、これが大正解。
初めての10倍がゆを一口、おそるおそる口に運んだら、変な顔をしつつもゴックン。
夫と二人で「食べた!」と大騒ぎしました(動画も撮りました、親バカです)。
何かあってもすぐ病院に行ける、という安心感があるだけで、こんなに気持ちに余裕が持てるんだなと実感しました。
赤ちゃんのサインを見つけて自信を持ってスタートしよう
ここまで読んでくださって、少し気持ちが軽くなっていたらうれしいです。
最後に、大切なポイントをふり返っておきますね。
離乳食を始めるタイミングは、月齢の数字だけで決めるものではありません。
本当に見るべきは、赤ちゃん自身が見せてくれる「準備できたよ」のサインです。
- 首がすわって寝返りができる
- 支えれば5秒以上座っていられる
- スプーンを舌で押し出すことが少なくなる
- 食べ物に興味を示す
全部が完璧に揃わなくても、首すわりと座る姿勢の土台ができていて、食べ物への興味が見えてきたなら、少しずつ始めてみていいタイミングです。
もし6ヶ月を過ぎてもサインが出なくても、始めてみて嫌がっても、焦らなくて大丈夫。
お休みして仕切り直してもいいし、保健センターや小児科に相談する道もあります。
早産で生まれた赤ちゃんは修正月齢で、湿疹が気になるときは肌のケアをしながら、それぞれのペースで進めていけば大丈夫です。
毎日カレンダーとにらめっこして、よその子と比べて落ち込んでいたあの時間。
もう手放してしまっていいんです。
あなたの目の前にいる赤ちゃんが、いちばんの先生。
その小さな口元や、キラキラした目を見ていれば、「あ、今かも」と思える日がきっとやってきます。
そのときが、あなたの赤ちゃんにとっての、ちょうどいいタイミング。
赤ちゃんの「食べてみたい」のサインを見つけたら、肩の力を抜いて、最初の小さじ1杯を差し出してみる。
そんな新しい一歩を、あなたのペースで楽しめたらいいですよね。

