女性が子どもを連れて離婚をして、その後新たな男性と再婚した場合、「再婚」という婚姻関係は「夫婦間」だけのもの。
つまり、連れ子と男性と親子関係を成立させるには婚姻届けとは別に、「養子縁組」をする必要があります。
さらに、「養子縁組」の中でも「普通養子縁組」に当てはまります。
ですが、最近は子どもを連れて離婚・再婚をしても「わざと養子縁組しない」女性が増えてきているんです。
とある統計によると、「30%以上の人が再婚のときに、連れ子を養子縁組しなかった」という統計が出ています。
まぁ逆を言うと「60%くらいの人たちは、再婚のときに養子縁組をしている」ということなんですが、私のイメージよりも「養子縁組しない人って多いんだな」と感じました。
でもこういった「再婚のときに、わざと養子縁組をしない理由」は何なのでしょうか?
どんなメリットがあって(メリットを感じて)、再婚したときに「養子縁組をしない」という選択をしたのでしょうか?
まず「養子縁組」とは、親子関係ではない子どもと大人に法的な親子関係を成立させる手続きのことを言います。
日本の養子縁組には、
- 養親と子どもの合意で成立する「普通養子縁組」
- 家庭裁判所の審判が必要な「特別養子縁組」
女性が子どもを連れて離婚し、新たな男性と再婚。
そして、子どもと男性を法的な親子関係にする場合は「普通養子縁組」をする必要があります。
再婚で養子縁組しない場合のメリットは?するのとしないでは何がどう違ってくる?
養子縁組をすると男性は
- 養父(ようふ)
- 養子(ようし)
- 養女(ようじょ)
ですが、最近では離婚・再婚しても「養子縁組」の手続きをわざとしない女性が増えてきているんです。
その理由は何なのでしょうか?
再婚しても養子縁組をしないメリット
では、養子縁組をしないメリットから見ていきましょう。
養子縁組をしないメリット①子どもの「苗字」を変えなくて良い
養子縁組を行い、届け出が受理されると子どもは再婚した男性の戸籍に入ることになります。
なので、「苗字」が変わり、戸籍には「養子・養女」となります。
子どもの年齢や性格によっては、学校や習い事で苗字を変えることにすごく抵抗がある子もいます。
つまり、子どもが嫌がっているタイミングでは無理に養子縁組をする必要はないと考える人が増えてきているのです。
養子縁組をしないメリット②元夫に養育費の減額・免除を求められない
養子縁組をした場合、子どもの扶養義務は、「実父(じっぷ)」である元夫と「養父」の両者になります。
ただ、扶養義務の優先順位は養父が優先になります。
なので、実父や状況によっては養育費の減額・免除を請求される場合もあるため養子縁組をしない女性が増えてきているのです。
養子縁組をするメリット
一方で、養子縁組をするメリットもあります。
養子縁組をするメリット①苗字がみんな同じになる
女性は、婚姻届を提出して再婚すると男性の苗字を名乗ります。
子どもは、養子縁組をすることで男性の苗字を名乗ることができます。
初めは嫌がっていた子どもも母親と同じ苗字であることや家族での時間を過ごすことで「同じ苗字になりたい」「みんな同じ苗字が嬉しい」と思える子どももいます。
養子縁組をするメリット②扶養義務が生まれる
再婚するほど女性を愛した男性は、女性の連れ子と親子関係になりたいと考える男性もいます。
養子縁組をすると子どもと養父は実の親子と同じ扱いになります。
扶養義務が生まれ、育てていくことが生き甲斐・頑張り甲斐になるのです。
養子縁組をするメリット③実父と養父の遺産を相続できる
もし、将来的に実父と養父が亡くなった時、養子縁組しておくと子どもは2人父親の遺産を相続することができるメリットがあります。
再婚で養子縁組しない割合は?する場合としない場合の判断基準は?
女性が子どもを連れて離婚して新たな男性と再婚をする時、養子縁組をしたかどうかのアンケートでは、
- 養子縁組をした…60.8%
- 養子縁組をしなかった…35.3%
私の予想では、もっと養子縁組をしていると思っていたので驚きです。
そして、60.8%の養子縁組をした理由としては、
- 養子縁組はするものだと思っていた
- 本当の親子になりたいと男性が言った
- 子どもが望んだ
- 子どもの相続のため
そして、養子縁組をしなかった35.3%の理由としては、
- 子どもの苗字が変わるのが可哀そうだったため
- 学校や世間体が気になったため
- 親族に反対されたため
- 再婚する男性が自分の子のように可愛がれないと思ったから
- 子どもが思春期だったため
- 子どもが自立していたから
- 必要性を感じなかったため
再婚した時の子どもの苗字はどうする?
また、再婚した時の子どもの苗字はどうしたかのアンケートでは、
- 夫の苗字にした…51.5%
- 妻の旧姓の苗字にした…25%
- 元夫の苗字にした…13.2%
なかでも、子どもの苗字を再婚した男性の苗字にしなかった理由としては、
- 子どもが嫌がったため
- 学校などややこしいため
- 子どもの環境を変化したくなかったため
- 子供が成人していたため
- 必要がないと思ったため
ぜひ、養子縁組をするかしないか迷った時、苗字を変えるべきか変えないべきか迷った時の参考にしてみてくださいね。
再婚する前に話し合って決めておくべき10項目
「死別」は別の話として、女性が「再婚」するということは、元夫と何らかの問題があり離婚をせざるを得なかったということです。
再婚後、同じ思いをしないためにおススメしておきたいことが、再婚する前にしっかり2人で話し合いをして決めごとをしておくことです。
再婚前に話し合っておくべき項目が10個。
一つずつ見ていきましょう。
再婚前に話し合っておくべき項目①元夫との関係
離婚・再婚をしても元夫は子どもの実親には変わりありません。
そのため、養子縁組をするかしないかだけに関わらず、養育費のことや面会交流などについても話し合っておく必要があります。
また、トラブルを避けるためにも再婚をする場合は、元夫にもきちんと報告しておくことをおススメします。
再婚前に話し合っておくべき項目②子どもを作るかどうか
再婚後子どもを作るかどうかも大切です。
養子縁組をした場合、養子と実子を同じように可愛がれるのかは、夫婦だけでなく子どもにとってとても大事なことです。
再婚前に話し合っておくべき項目③連れ子を養子縁組するかしないか
連れ子を養子縁組するかしないかも再婚前にしっかり話し合っておきましょう。
また、子ども自身にも苗字についての気持ちや考えを確認しておきましょう。
再婚前に話し合っておくべき項目④子どもの教育方針
子どもの教育方針は、いざ自分が親にならなければ分からない点も多く、子育てしながら自分の教育方針を知る機会もたくさんあります。
ただ、どうしても譲れない教育方針がある場合や、どういった子育てをしたいかなどは再婚前に話し合っておく方が後々、トラブル回避のためになるでしょう。
再婚前に話し合っておくべき項目⑤再婚前の財産
再婚前にそれぞれもっている財産についてもトラブルにならないよう事前に話し合っておきましょう。
再婚前に話し合っておくべき項目⑥住居
子どもが幼稚園や学校に通っているとどこに住むかも大切です。
大人だけの意見で決めず、子どもの意見も聞いてあげられると良いですね。
再婚前に話し合っておくべき項目⑦家計
離婚理由に「お金関連」はとても多くあります。
同じことを繰り返さないためにも、事前に収入や財産などを教え合い、生活費などの支出の分担も決めておきましょう。
再婚前に話し合っておくべき項目⑧家事・育児の分担
近年の離婚理由や夫婦トラブルに家事・育児の分担がよく挙げられます。
「共働きなのに育児も家事も女性」なんてよく聞きますよね。
もし再婚して同じ考えの男性であればおそらくまた離婚することになるでしょう。
家事や育児をどの程度分担しておくのかも再婚を決める大きなポイントです。
再婚前に話し合っておくべき項目⑨仕事
女性は、再婚をした後仕事をどうするのかも決めておき
「今の仕事を続ける」「新たな仕事を探す」「専業主婦になる」などの選択肢がある中、やはりお互いの財産や収入を知っておく必要がありますね。
再婚前に話し合っておくべき項目⑩夫婦の在り方や将来の夢
「年に1回は旅行に行きたい」
「新たに家を建てたい」
「自分たちの子どもが欲しい」
「自分たちで会社を立ち上げたい」
など、自分たち夫婦の在り方や将来の夢も話し合っておきましょう。
実現するかしないかではなく、どんな夢があってどうしていきたかいを話していると、相手がどんな人かがより深く分かります。
一生共にするパートナーとして問題がないかを見極めるためにも、「自分の思い」・「相手の思い」をさらけ出してみましょう。
そして、紹介した10個の項目以外にも自分たちにとって大切なことは紙に書き出しておきましょう。
その後、きちんと清書して「婚約契約書」として残しておくとトラブルを避けることができます。
再婚で養子縁組しないとき子供が成人の場合にはどんなメリットとデメリットがある?
再婚で子供が成人の場合には養子縁組をする必要がないかもしれませんが、子供の状況によっては養子縁組をするメリットもあります。
まず親子の愛情を抜きにして損得で考えると、一番のメリットは「子供も妻とともに養父の財産を相続できること」にあります。
また、養父側のメリットとしては、高齢者になってから子供に扶養してもらうことができます。
これは、生活にゆとりがある範囲内で、扶助すればよい「生活扶助義務」というものになりますが、養子縁組がないよりはマシです。
デメリットとしては、養子縁組をすると原則「子供の苗字が養父の苗字に変わること」です。
成人してから苗字が変わるのは、抵抗がある人が多いと思います。
子供が結婚している場合でも、苗字が変わっていなければ養子縁組によって養父の苗字に変わります。
その子供が戸籍筆頭者の場合、その配偶者も苗字が変わります。
ただ、結婚したときに苗字が配偶者側の苗字になっていれば、養子縁組による苗字の変更の対象にはなりません。
なので成人した子供にとって、養子縁組しないメリットは
- 苗字が変わらないこと
- 養父が高齢になってから扶養する義務が発生しないこと
養子縁組しないことのデメリットは「養父の財産を相続できないこと」ですが、逆を考えると「複雑なトラブルに巻き込まれることはない」というメリットも考えられますよね。
なので、「成人になった子供を養子縁組するのか?しないのか?」は、当事者同士で納得するように話し合うことが大切です。
いったん養子縁組をすると、何らかの理由で解消する場合には「離縁の手続き」というものが必要になってきます。
この離縁の手続きは、その理由によって手続きが違って、大きく5パターンもあります。
そのうち、裁判で離縁が認められるためには
- 相手から悪意で遺棄された
- 相手が3年以上生死不明
- その他縁組を継続しがたい重大な事由がある
なので、子供が成人してからの養子縁組をするしないは、慎重に考えて子供の同意を得てからにしてくださいね。
わざと養子縁組しないで子育てする!のまとめ
近年増えてきている「わざと養子縁組をしない」理由は、
- 子どもの「苗字」を変えなくて良い
- 元夫に養育費の減額・免除を求められない
何よりも子どもの気持ちや環境を考える親心が背景にあります。
子ども自身の気持ちも聞いてあげてくださいね。