子どもが5歳、6歳になっても指しゃぶりが続いていると、
「もう年長さんなのに」
「このままで大丈夫かな?」
と心配になる親御さんは多いと思います。
成長とともに自然とやめていくものだと思っていたのに、ふとしたときに指をくわえている姿を見ると「どうしてまだやってるの?」と不安や戸惑いを感じてしまいますよね。
特に、周りの同年代の子たちがすでに指しゃぶりを卒業していたり、保育園や幼稚園の先生からやめた方がいいとアドバイスを受けたりすると、親としては「うちの子だけ…?」と焦りやプレッシャーを感じてしまうこともあるでしょう。
でも、実は指しゃぶりには、子どもなりの理由や背景がしっかりあるんです。
無理にやめさせようとする前に、まずはその理由を理解して、子どもが安心して過ごせるような関わり方を見つけていくことが大切です。
この時期の子どもにとって、心の安定はとても重要なもの。
親がそっと寄り添ってあげるだけでも、子どもは大きな安心を感じることができます。
この記事では、年長児がどうして指しゃぶりをやめられないのか?
その理由をていねいに紐解きながら、やめさせるときに注意したいポイントや、親としてできるやさしい関わり方について、わかりやすくご紹介していきます。
【原因】年長児が指しゃぶりを続けるわけ
安心したくて指しゃぶりをすることがある
年齢が上がれば自然にやめていくものだと思っていた指しゃぶり。
でも実際には、年長さんになってもなかなかやめられない子もいますよね。
親としては「そろそろやめてほしいな」と思ってしまいますが、子どもには子どもなりの理由があるものです。
指しゃぶりは、ただのクセや甘えから来るものだと感じるかもしれませんが、実は心の中の不安や緊張をやわらげるための行動であることが多いんです。
子どもにとっては、指をしゃぶることで気持ちを落ち着けたり、自分の世界に安心して入ったりするための方法なんですね。
たとえば、保育園や幼稚園での人間関係、先生との関わり方、集団生活でのプレッシャー、小学校への進学など、年長児の生活には大きな環境の変化がたくさんあります。
大人から見ればちょっとしたことでも、子どもにとっては大きな出来事。
見えないところでがんばっている分、気持ちのバランスを取ろうとして、無意識のうちに指しゃぶりに頼ってしまう子も多いんです。
特に眠る前やひとりでぼんやりしているとき、疲れているときなどに指しゃぶりが出やすいのも、そうした安心を求める気持ちが関係しているからなんですね。
【注意】無理にやめさせると逆効果になることも
やめさせようとすることで不安が大きくなることも
「もうお兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」と声をかけてみても、やめるどころか、かえって指しゃぶりの回数が増えてしまうこともありますよね。
親としては「言えばわかってくれるかな」と思っての言葉でも、子どもにとってはプレッシャーになってしまっている場合があるんです。
なぜそうなるのかというと、指しゃぶりは子どもにとって安心できる行動だからです。
不安な気持ちや緊張を和らげてくれる“おまもり”のような存在になっていることもあります。
そんな大切な安心材料を急に取り上げられると、子どもはますます不安になってしまうんですね。
たとえば、「ダメって言われた」「やめろって言われた」という体験が積み重なると、子どもは心の中にモヤモヤを抱えるようになります。
その結果、かえって指しゃぶりが増えてしまうという逆効果につながることもあるのです。
また、叱ったり無理にやめさせようとすると、子どもは「わかってもらえない」と感じてしまって、親との信頼関係がちょっと揺らいでしまうこともあります。
親はよかれと思っていても、子どもが感じるのは「責められている」「否定された」という印象かもしれません。
やめさせることばかりに意識が向いてしまうと、子どもが本当に求めている「安心感」や「甘えたい気持ち」に気づけなくなってしまいます。
だからこそ、まずはその背景にある心の声に耳を傾けて、やさしく寄り添うことが大切なんですね。
【対策】子どもの安心感を満たす関わり方が大切
「やめさせる」より「安心させる」を意識してみて
年長児の指しゃぶりが気になるときは、「どうすればこの子が安心できるかな?」という視点を持つことがとても大切です。
子どもは大人のように自分の気持ちをうまく言葉にできないことが多いので、行動やしぐさから気持ちを読み取ってあげることが必要になります。
そんな中で、子どもが安心できるような関わり方をしてあげると、自然と心も落ち着いていくものです。
たとえば、スキンシップを意識的に増やしてみるのはとても効果的です。
抱きしめたり、頭をなでたり、手を握ったりすることで、「大好きだよ」「そばにいるよ」という気持ちが子どもにちゃんと伝わります。
また、「がんばってるね」「えらいね」「いつも見てるよ」といった、認める言葉や励ましの声かけをすることで、子どもの心は安心しやすくなります。
さらに、日常の中でゆっくり過ごせる時間をつくることも大切です。
仕事や家事で忙しい日々の中でも、たとえば夕方のちょっとした時間や寝る前の数分間だけでも、子どもと目を合わせて一緒に過ごす時間をとることで、心の距離がぐっと近くなります。
寝る前に絵本を読んであげたり、ひざの上で甘えさせてあげたりすることで、安心して眠りにつけるようになる子も多いですよ。
子どもが安心できる環境が整ってくると、自然と指しゃぶりの回数が減っていくこともよくあります。
無理にやめさせるのではなく、心が満たされることで自分から「もういいかな」と思えるようになることも少なくありません。
そういった変化を見守ることが、親としてのやさしいサポートになるのです。
【判断】小学校入学までにやめさせた方がいい?
心配なときは小児歯科や保育士に相談してみて
「小学校に入るまでにはやめさせたい」と考える親御さんはとても多いと思います。
やっぱり小学生になってからも続けていたら、周りの目が気になるんじゃないか、からかわれてしまうんじゃないかと心配になりますよね。
でも実際には、無理にやめさせる必要はないことも多いんです。
というのも、子ども自身の心が安定してきたり、環境に慣れて安心できるようになったりすれば、自然と指しゃぶりの回数が減っていくこともよくあるからです。
中には小学校に入ってから、何となく「もうやめてもいいかな」と自分で気づいてやめていく子もいます。
ただ、指しゃぶりの頻度がかなり多い場合や、いつ見てもずっとしゃぶっているような状態が続くときは、歯並びや噛み合わせへの影響が心配になってきます。
そんなときは、小児歯科で一度相談してみるのがおすすめです。
優しく見守りながら、必要な場合には専門的なアドバイスやケアを受けることができますよ。
また、保育園の先生やカウンセラー、保健師さんなど、子どもの発達に詳しい専門家に相談するのもとても安心です。
第三者の視点で、今の状況がどのくらい自然なことなのか、どんなサポートが必要なのかを一緒に考えてもらえると、親としても心強く感じられますよ。
【まとめ】焦らずゆっくり見守ることがいちばんのサポート
指しゃぶりは、子どもの心の成長とともに自然と減っていくことが多いです。
だからといって、今すぐやめさせないといけないわけではありませんし、無理にやめさせようとすると逆効果になることもあります。
大切なのは、子どもが安心して自分の気持ちを表現できるような環境を整えてあげることなんです。
子どもは言葉でうまく説明できない分、行動やしぐさで気持ちを表しています。
指しゃぶりもそのひとつで、甘えたい気持ちや安心したい思いが込められていることがあります。
そうした子どもの内面に気づいてあげることは、親としてとても大切なことです。
だからこそ、「早くやめさせなきゃ」と焦るよりも、
「今この子は何を感じているんだろう?」
「何を求めているんだろう?」
と想像しながら、そっと寄り添ってあげる姿勢が必要です。
子どもが安心できる環境が整えば、自分のペースで少しずつ手放していける可能性は十分にあります。
「大丈夫だよ」「ゆっくりでいいよ」とあたたかく見守ってあげることが、子どもにとって一番の安心材料になります。
焦らずに、その子らしいタイミングで成長していくのを信じてあげることが、親としてのいちばんのサポートになるのではないでしょうか。
やさしく、あたたかいまなざしで、子どものペースを大事にしていきたいですね。