リクガメを飼い始めて、いざというときに「どこの病院に連れていけばいいんだろう?」と不安になった経験はありませんか。
犬や猫と違って、近くの動物病院ならどこでも診てもらえるわけではないのが、リクガメ飼育の難しいところのひとつです。
でも、あらかじめポイントを押さえておけば、いざというときに慌てずに済みます。
この記事では、リクガメに合った病院の選び方から、受診のタイミング、病院に行くときの準備まで、飼い主さんが知っておきたいことをまとめてご紹介します。
リクガメは「爬虫類対応」の病院を選ぶことが大前提
リクガメの病院選びで最初に押さえておくべきことは、「爬虫類・エキゾチックアニマルの診療に対応しているかどうか」を必ず確認することです。
一般的な動物病院の多くは犬・猫の診療を専門としており、リクガメなどの爬虫類を診る知識や設備が整っていない場合があります。
リクガメを連れて行っても「うちでは診られません」と断られてしまうケースは珍しくなく、飼い主さんが焦って病院を探し回る、という状況はできれば避けたいものです。
リクガメを飼い始めたら、まず「かかりつけ病院」を元気なうちに探しておくことが何より大切です。
病気になってから慌てて探すよりも、健康なときに一度受診しておくほうが、いざというときに安心できます。
「爬虫類対応」の病院はどうやって探す?
爬虫類対応の動物病院を探す方法はいくつかあります。
まず、インターネットで「爬虫類 動物病院 ○○市(お住まいの地域)」などと検索するのが基本です。
動物病院の口コミサイト(CalooペットやEPARKペットライフなど)では、「爬虫類対応」の病院を絞り込んで検索できる機能があります。
また、リクガメを購入したペットショップに相談するのも一つの手です。
爬虫類を扱うお店のスタッフは、その地域で爬虫類を診てもらえる病院をよく知っていることが多いです。
爬虫類の飼育コミュニティやSNSで「○○県でリクガメを診てくれる病院を知っていますか?」と質問するのも、意外と有力な情報が集まります。
電話で事前に確認しておくべきこと
病院のホームページに「爬虫類対応」と書いてあっても、実際にリクガメの診療経験が豊富かどうかは別の話です。
受診前に必ず電話で「リクガメを診ていただけますか?」と確認しましょう。
そのとき、できれば以下のことも確認できると安心です。
- リクガメの診療経験はありますか?(どの程度の症例を扱っているか)
- レントゲン検査や血液検査などの設備はありますか?
- 予約制ですか?当日の受診は可能ですか?
電話対応のときに丁寧に答えてもらえる病院は、それだけで安心感があります。
逆に、リクガメについて質問しても要領を得ない場合は、経験が少ない可能性があります。
信頼できる病院を見極める5つのポイント
爬虫類対応と書かれていても、病院によって経験や設備に差があります。
以下のポイントを参考に、リクガメを安心して任せられる病院かどうかを見極めてみてください。
① 爬虫類・エキゾチックアニマルの診療実績があるか
ホームページのスタッフ紹介や診療案内に「エキゾチックアニマル専門」「爬虫類の診療に力を入れています」といった記載があるかを確認しましょう。
ブログや症例紹介でリクガメの治療事例が載っている病院は、それだけ経験があるということです。
② 検査設備が整っているか
リクガメの病気の多くは、レントゲンや血液検査をしないと原因がわかりません。
たとえば膀胱結石や卵詰まりはレントゲン撮影が欠かせませんし、腎不全や痛風などは血液検査で初めて発見できます。
「診てはもらえたけど、検査できる設備がなくて結局診断がつかなかった」という状況を避けるためにも、設備面も確認しておくのがベターです。
③ 飼育環境への理解があるか
リクガメの病気の多くは、飼育環境の問題が背景にあることが少なくありません。
温度管理、湿度、紫外線ライト、食事内容など、飼い方について丁寧に話を聞いてくれて、アドバイスもしてくれる獣医師は信頼できます。
治療だけでなく、日常のケアについても相談できる環境があると、長い付き合いができます。
④ アクセスのよさと診療時間
いざというときに連れて行きやすい距離かどうかも大切なポイントです。
遠方の専門病院よりも、通いやすい距離にある爬虫類対応の病院のほうが、緊急時には現実的なこともあります。
また、土日や夜間の診療があるかどうかも確認しておくと安心です。
⑤ 初診のときの印象を大切に
実際に連れて行ったときに、獣医師がリクガメをしっかり観察してくれているか、飼い主の話をきちんと聞いてくれるかを確認しましょう。
「どんなものを食べていますか?」「ケージの温度は何度に設定していますか?」といった飼育環境に関する質問をしてくれる先生は、リクガメの診療に慣れている証拠です。
こんな症状が出たら、すぐに病院へ
リクガメは体調が悪くても、外からわかりにくい動物です。
爬虫類は本能的に体調不良を隠す習性があり、はっきり症状が出るころにはすでにかなり進行していることも少なくありません。
- 鼻水が出ている、口を開けて呼吸している(呼吸器感染症のサイン)
- 食欲がまったくない日が続く(数日の絶食は季節によってあり得るが、長引く場合は要注意)
- 1週間以上、排泄がない(便秘・尿路結石など)
- 甲羅に白い斑点やひび割れがある
- 目が開かない、目やにが多い
- 手足が腫れている、歩き方がおかしい
- お尻から何かが飛び出ている(緊急サイン)
お尻から臓器が飛び出している場合は、すぐに病院に連絡してください。
これは総排泄腔脱や直腸脱などの緊急状態で、時間が経つほど回復が難しくなります。
「様子を見よう」が命取りになることも
リクガメは代謝がゆっくりしているため、病気の進行も緩やかに見えることがあります。
そのため「少し元気がないけど、もう少し様子を見てみよう」と思っているうちに、重症化してしまうケースも多いです。
実際に、専門獣医師のもとには「様子を見すぎてしまい重症化してから連れてきた」という飼い主さんが多いといわれています。
気になることがあれば、「大げさかな」と思わずに早めに相談することをおすすめします。
受診前に準備しておくと役に立つもの
病院に連れて行くときは、以下のものを持参すると診察がスムーズに進みます。
フンを持っていく
新鮮なフンをラップやタッパーに入れて持参しましょう。
フンの顕微鏡検査で寄生虫の有無が確認できます。
リクガメは野生個体を中心に体内寄生虫を持っていることが多く、駆虫が必要なケースもあります。
フンを持っていくと、その場で調べてもらえることが多いです。
飼育環境をメモしておく
獣医師から「ケージの温度は?」「何を食べさせていますか?」といった質問を受けることがよくあります。
事前に以下の情報をメモしておくと、焦らずに答えられます。
- ケージのサイズと温度設定(バスキングスポットと涼しい場所の温度)
- 使用している紫外線ライトの種類と交換時期
- 普段与えている食べ物の種類と量
- 症状が始まった時期や気になった行動
移動中の保温に気をつける
リクガメは変温動物なので、移動中に体が冷えると体調がさらに悪化します。
特に冬場は、キャリーケースの中にカイロ(直接触れないように)を入れたり、タオルで包んだりして保温に気を配りましょう。
実際のリクガメ飼い主さんが経験した「病院選び」の事例
事例①:「近くの病院に連れていったら断られた」
ヘルマンリクガメを飼っている方が、食欲の落ちた我が子を近所の動物病院に連れて行ったところ「爬虫類は診ていません」と言われてしまった、というケースはよくある話です。
このようなことを避けるためにも、リクガメを迎えた直後に「かかりつけ病院」をあらかじめ探しておくことが大切です。
元気なうちに健康診断を兼ねて受診しておけば、病院との関係もできて安心です。
事例②:「健康診断で寄生虫が見つかった」
症状は特になかったけれど、初回の健康診断でフン検査を行ったところ、寄生虫が見つかった、というケースもあります。
リクガメ(特に野生個体)は高い確率で体内に寄生虫を持っているとされており、元気そうに見えても検査してみて初めてわかることがあります。
新しくリクガメを迎えたら、まずは健康診断とフン検査を受けることをおすすめします。
事例③:「鼻水を放置していたら肺炎に」
「少し鼻水が出ているな」と思いながら様子を見ていたら、数週間後には呼吸が荒くなってきた、というケースもあります。
リクガメの呼吸器疾患は、放置すると肺炎に進行することがあります。
鼻水やくしゃみが見られたら、早めに病院に相談しましょう。
ちなみに、リクガメは横隔膜がないため、咳やくしゃみができません。
そのため症状がわかりにくいのですが、鼻水や口を開けた呼吸が見られたら要注意です。
やってはいけないこと
人間用の薬や市販の動物用薬を自己判断で使うのは厳禁です。
リクガメの体は哺乳類とまったく異なる仕組みを持っており、人間や犬猫用の薬が致命的なダメージを与えることがあります。
「ネットに書いてあった方法を試してみた」という自己判断での治療も危険です。
気になることがあれば、まず獣医師に相談することを習慣にしてください。
まとめ:リクガメの病院選びで押さえておきたいこと
リクガメの病院選びで大切なことを整理すると、以下のようになります。
- 爬虫類・エキゾチックアニマル対応の病院を選ぶ(事前に電話確認必須)
- 元気なうちにかかりつけ病院を決めておく
- 検査設備(レントゲン・血液検査)が整っているか確認する
- 飼育環境への理解があり、アドバイスもしてくれる獣医師を選ぶ
- 気になる症状があれば「大げさかも」と思わず早めに受診する
- 受診時はフンと飼育環境のメモを持参する
リクガメは30〜40年以上生きる長命な動物です。
良い病院との関係を早いうちに築いておくことが、長い付き合いの中で必ず助けになります。
「まだ元気そうだから病院は後でいいか」と後回しにしてしまいがちですが、それが一番もったいないことかもしれません。
まずは近くに爬虫類対応の病院があるかどうか、今日調べてみることから始めてみませんか。
大切なリクガメと、できるだけ長く健やかに過ごせるよう、一緒に備えていきましょう。
ほかの不安もまとめて整えておきたい人は、こちらも参考になりますよ。
⇒「はじめてのリクガメ飼育|後悔しないために最初に整理したい6つの不安」
